研究課題/領域番号 |
17K02085
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
石川 照子 大妻女子大学, 比較文化学部, 教授 (50316907)
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研究分担者 |
山崎 眞紀子 日本大学, スポーツ科学部, 教授 (00364208)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 月曜クラブ / 一土会 / 竹中繁 / 日中関係 / 朝日新聞 / 市川房枝 / 日中女性関係史 / ジェンダー |
研究実績の概要 |
1.関連史料の所蔵状況に関する調査及び収集・・・研究代表者と分担者それぞれの個別の史料調査以外に、本研究の課題である月曜クラブと一土会に関する史料調査を、史料所蔵者である稲葉幸子氏(竹中繁の孫)の自宅で行った(2017年8月4日、2018年3月8日。東京都日野市)。その結果、史料の所蔵状況を具体的に把握することができ、また新史料の発見もあった。 2.研究会の開催・・・2017年5月6~7日、5月28日、8月3日、12月22~23日、2018年1月29日に、それぞれ例会を開催した。具体的にはまず月曜クラブの史料に関しての確認、講読、研究方向と方法の検討等を行った。一土会については、2年目以降に本格的に研究に着手する計画である。 3.郭沫若記念館の見学・・・2018年3月3日、千葉県市川市にある郭沫若記念館を見学した。郭沫若は近現代日中関係史における重要人物であり、月曜クラブと一土会の活動と思想を考える上でも、検討が必要であった。 4.国際シンポジウムへの参加と報告・・・7月11~14日に台湾・中央研究院近代史研究所主催の国際シンポジウム「世界史の中の中華女性」に、研究代表の石川照子が研究協力者の須藤瑞代、姚毅と共に参加し報告を行った。また、台湾、中国等の研究者たちとの学術交流も行った。 5.本の購入・・・進藤久美子『市川房枝と「大東亜戦争」』(法政大学出版局、2014年)を、合評会用に購入した。市川房枝は竹中繁の親友で、また月曜クラブ、一土会のメンバーでもある。次年度に合評会を開催の予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)計画確認・打ち合わせ:全体の研究計画に関する研究課題の確認・役割分担について打合わせを実施した。なお会合には研究代表、研究分担者以外に3名の研究協力者(須藤瑞代・藤井敦子・姚毅)の3名もほとんど参加している。(2)関連史料の所蔵状況に関する調査:研究テーマである月曜クラブと一土会と両組織の中心人物である竹中繁に関する未発掘史料を可能な限り系統的に調査するために、稲葉幸子宅、国内、中国、台湾など各地の史料文書館・図書館等において、関連史料の分布(所蔵)調査を行った。(3))研究会・打ち合せ会議の開催:研究代表者・分担者・協力者による研究会・打ち合わせ会議を2017年5月(2回)、7月、8月、12月、2018年1月、3月(2回)の合計8回実施した。(2)によって把握された史料分布状況を報告して情報を共有して、そこから見えてくる今後の研究体制の方向性・方途等について、多様な角度から検討を加えた。(4)情報の共有と発信:以上の調査過程で獲得された情報は各自のパソコン等を利用して記録整理すると共に、相互に情報を共有している。また今期の科研費助成事業と同じメンバーによる科研費助成事業(基盤研究C「近代日中女性関係史におけるジェンダー構築の総合的研究ー竹中繁を中心として」研究代表者:山﨑眞紀子)2014年4月~2017年3月)の成果を、『女性記者・竹中繁のつないだ近代中国と日本ーー一九二六~二七年の中国旅行日記を中心にーー』(研文出版、2018年2月)として上梓し世に問うたが、それを発展的に継承して、今期の成果もまとめてゆく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
*研究の目的・・・(1)月曜クラブ及び、それから発展して作られた、隣国中国を知ることを目指した一土会という、関連する二つの女性グループの活動を明らかにし、近代日中関係史をジェンダーの視点から分析する事である。(2)月曜クラブと一土会の実質的幹事であった東京朝日新聞社初の女性記者竹中繁の未公開資料の研究を行った、前回の科研費助成事業は『女性記者竹中繁のつないだ近代中国と日本』として上梓した。月曜クラブと一土会の記録もその作業の中で見つかった新史料で、日中関係に新たな知を提供することが期待されるものであり、それらの史料の整理と分析を行う。 *本年度(平成30年度)の研究実施計画・・・(1)研究会・研究打ち合わせ会議の開催・・年間5回程開く。1年目の研究活動を総括すると共に、今後の研究活動の準備・調整を行う。毎回の会合では、引き続き関連史料の調査状況の報告、メンバーの研究の中間発表、進藤久美子『市川房枝と「大東亜戦争」』の合評会を行い、市川房枝の思想と活動について学ぶ。(2)関連史料の所蔵状況に関する調査及び収集の継続…月曜クラブと一土会、竹中繁に関する未発掘資料を可能な限り系統的に調査する為、国内、国外において継続調査を行う。A)国内:稲葉幸子宅が所蔵している史料は未整理のまままだ大量に存在しており、その調査・整理がまず必要である。また、笠間杉子氏(竹中繁の教え子である石川忍の孫。姫路市在住)が所蔵する書簡類等も調査の必要がある。そのほか、朝日新聞社の社史編集センター(東京都築地)の調査も予定している。B)国外:中国(上海図書館、中国国家図書館等)、台湾(中央研究院近代史研究所等)、香港(香港城市大学、香港大学等)において、史料調査と収集を行う。(3)情報の共有・・・以上の調査過程で獲得された情報は、研究会において報告し、各自のパソコンにも保存して共有する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に購入を予定していた書籍等の資料が、当初予想額より少なかった為である。また、旅費も予定していたより支出が少なく抑えられたことも理由である。
(使用計画) 初年度の経験を生かして、平成30年度においてはさらに精力的に国内・国外の史料所蔵状況を調査し、史料の購入・複写に努力する予定である。
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