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2019 年度 実績報告書

介護施設における両立支援と女性介護職のキャリア形成

研究課題

研究課題/領域番号 17K02088
研究機関実践女子大学

研究代表者

山根 純佳  実践女子大学, 人間社会学部, 准教授 (80581636)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード性別職務分離 / ケアワーク / 介護保険制度
研究実績の概要

最終年度は、1)2つの介護福祉施設において聞き取り調査(48ケース)から得られた分析結果を論文として執筆(投稿済・査読中)し、2)質的調査を補足するためのアンケート調査を実施した。
1)女性職である介護職の両立支援と均等化のジレンマ(育児中の女性の両立支援制度利用による就業継続と、リーダー・役職者における男性割合の増加)が起きるメカニズムについて以下のことが明らかになった。①家庭のケアと介護施設のケアの両立が困難な状況のなかで、子育て期の女性が時短や夜勤免除を利用することについて雇用主側は「(退職しない)就業意欲」の表れではなく「母性・女性的価値の表れ」と意味づける「ジェンダー(化された解釈)」の実践をおこなっている。②パート比率の多い職場において、この「母性・女性的価値」と一致するのは「パート」であるという意味づけが、子育て中の正規職女性に精神的プレッシャーを与え、昇進意欲を冷却させている。③ユニット型ケアでは1人の職員の責任が大きく,遅番夜勤に入らないことが「責任感の欠如」と意味づけられることからリーダーへの復帰の壁となっている。子育て中の女性を「脱標準」とみなす職場文化は、介護保険制度における「個別ケア」に対する過小な資源配分(人手不足による長時間労働)によって強化されている。
2) 全国の1985介護施設(特別養護老人ホーム・老人保健施設・有料老人ホーム)へのアンケート調査(回収率20%有効回答数397)のデータを分析した結果、営利企業は,社会福祉法人や医療法人に比べ、管理職における男性の割合が高く、労働者のWLB推進に消極的であることがわかった。以上から、介護保険制度による「労働」への過小な資源配分と営利企業の参入という市場化が、女性職における性別職務分離=男性管理職の増加を推し進めているといえる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 書評:大和礼子著『オトナ親子の同居・近居・援助:夫婦の個人化と性別分業の間』2019

    • 著者名/発表者名
      山根純佳
    • 雑誌名

      『福祉社会学研究』

      巻: 16 ページ: 206-210

    • DOI

      10.11466/jws.16.0_206

    • オープンアクセス
  • [学会発表] ‘Comment on Dian Elsons "Intersections of Gender and Class in the Distribution of Income”’2019

    • 著者名/発表者名
      Yamane, Sumika
    • 学会等名
      Musashi International Symposium with Professor Dian Elson, ‘Intersections of Gender and Class in the Distribution of Income”21th October 2019 as Musashi University.
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] Formal care work under the Japanese quasi-market: toward a care friendly gender regime,Handbook of East Asian Gender Studies, edited by Jieyu Liu and Junko Yamashita,2020

    • 著者名/発表者名
      Yamane, Sumika
    • 総ページ数
      436
    • 出版者
      Routledge
    • ISBN
      9781138959897

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公開日: 2021-01-27  

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