研究実績の概要 |
本研究は外科領域の学会とそれ以外の学会に所属する女性医師を対象に次の事柄を明らかにする目的で行われた。1.職場環境と妊娠・出産の可否の実態と希望 2.妊娠・出産の実態と就労状況の関連 3.妊娠・出産の合併症と妊娠期の労働環境(一日労働時間と当直回数)との関連 平成30年5月に日本外科学会女性会員全員(3570名)を対象に行ったアンケート調査の論文化を行い、これをもとに一部改訂を加え、日本内科学会・日本産科婦人科学会の協力で各学会の全女性会員を対象に令和1年11-12月にアンケート調査を施行した。 総回答は日本内科学会5,454、回答率21.9%、日本産科婦人科学会1,225、回答率20.4%、日本外科学会1068、回答率29.9%で、うち有効回答数7,573を解析した。 結果1.理想の出産時期はレジデント終了後あるいは専門医取得後の回答が多く女性医師がキャリアを重要視していた。2.不妊治療は30代後半から40代前半で40%近くが経験し、ほとんどが常勤フルタイムで治療を受けていた。3.妊娠出産に関するハラスメントは約40%。セクシュアルハラスメントも40-50%が経験していた。4.妊娠合併症は約30%、分娩合併症は約20%に認められ、労働時間は無関係だった。5.妊娠出産を契機とした離職は約20%に認め、年代を経るごとに診療所勤務の増加が認められ、短時間勤務者も一定数認められた。外科は有意に労働時間が長く、未婚者割合が高く、子供を持つ人の割合および子供の数が少なかった。6.パートナーが育休取得した人のほうが、平均子供数が多かった(取得あり1.81, 取得なし 1.57, p<0.01)。
令和4年度は日本産科婦人科学会、日本核医学会、富山県医師会において招待講演により本研究結果を発表した。論文化についてはいまだに進行中である。
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