研究課題/領域番号 |
17K02094
|
研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
秋林 こずえ 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 教授 (90377010)
|
研究分担者 |
文 京洙 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (70230026)
宮城 晴美 琉球大学, グローバル教育支援機構, 非常勤講師 (80618786)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 米軍駐留 / 性売買 / 「基地村」 / 在韓米軍 |
研究実績の概要 |
今年度は、沖縄、韓国、フィリピンでの駐留米軍と性暴力に関する資料、またそれらの地域における性暴力被害者/サバイバーの活動や支援するNGOの活動に関する資料を収集した。特に2017年6月に沖縄で開催された「軍事主義を許さない国際女性ネットワーク」第9回国際会議の事務局海外連携を担当することにより、韓国、沖縄、フィリピンでのこれらの活動へ集中したアクセスを持つことができた。 フィリピンの活動に関しては、米軍基地周辺での性売買に携わった女性たちが活動するNGO、ブックロード・センターから代表とスタッフ一名が上記会議に参加したために沖縄で資料収集ができた。これは今後、予定しているフィリピンでのフィールド調査の予備調査と位置付けることができるものである。 韓国に関しては、上記の会議と韓国でのフィールド調査によって、2014年6月に在韓米軍基地周辺で性売買に携わった「基地村」女性など122人が原告となり韓国政府に国家賠償を求めた「韓国内基地村米軍慰安婦国家損害賠償請求訴訟」についての資料を収集した。本訴訟に関連して、原告の「基地村女性」の活動だけでなく、訴訟を支援するために環境運動団体や女性運動団体が中心となって組織した「基地村女性人権連帯」についても資料収集を行うことができた。 沖縄については、主に米軍占領期の性暴力についての資料収集を沖縄で行った。 それぞれの米軍駐留と性暴力に関する資料収集に加え、上記会議では、米軍駐留地域の性暴力被害者や支援者によるトランス・ナショナルネットワークの構築と政治的エンパワーメントをテーマとする資料収集ができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は「軍事主義を許さない国際女性ネットワーク」会議が沖縄で開催されたことにより、本研究での主な研究地域である、韓国、フィリピン、沖縄での駐留米軍と性売買・性暴力の被害者/サバイバーの活動について、効果的な資料収集を行うことができた。また、韓国での資料収集も、「韓国内米軍慰安婦国家損害賠償請求訴訟」の原告や支援団体へのアクセスを確保できたことにより、フィールド調査を効果的に行うことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、沖縄、韓国、フィリピンで米軍駐留下での性暴力に関する資料を収集する。性暴力被害者/サバイバーの活動に関する資料収集を行う。主な対象は、韓国では「基地村」による訴訟、フィリピンではブックロード・センターでの活動とする。 これらの駐留地域での活動が構築するトランスナショナル・ネットワークの活動に関する調査を行い、米軍駐留と平和安全保障に対する駐留地域の女性たちの視点の理論化の方向性を明らかにする。 政治的エンパワーメントに関する理論の整理を行う。特にフェミニズムの視点から、性暴力被害をめぐる家父長制と軍事主義と、女性のエンパワーメントと社会変革の関連についての議論を整理する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由は、フィリピンと韓国でフィールド調査の対象としているNGOのメンバーが沖縄で開催された駐留地域のフェミニスト平和運動ネットワークの会議に参加したため、それぞれの地域での活動に関する資料収集とトランスナショナル・ネットワーク構築に関する調査も含めた予備調査を同時に沖縄で行ったことによる。 次年度使用額は、この予備調査をもとにして、フィリピンか韓国でのこれらのNGOの活動のフィールド調査か、トランス・ナショナルネットワークの活動が行われる地域(米国)でのフィールド調査に使用する計画である。
|