研究課題/領域番号 |
17K02094
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
秋林 こずえ 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 教授 (90377010)
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研究分担者 |
文 京洙 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (70230026)
宮城 晴美 琉球大学, グローバル教育支援機構, 非常勤講師 (80618786)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 武力紛争と性暴力 / 在韓米軍 / 「基地村」 / 長期駐留外国軍と性暴力 / 朝鮮戦争 / 沖縄 / 国際フェミニスト平和運動 |
研究実績の概要 |
2018年度(平成30年度)は主に、韓国における性暴力、性売買、性暴力被害者支援関連政策、アジア太平洋戦争後の東アジアにおける米軍駐留の政治的背景、国連や国際NGOにおける紛争下の性暴力をめぐる概念と政策、米軍占領下の沖縄における米軍による性暴力、沖縄のフェミニスト運動の歴史的背景などに関して研究を進めた。 韓国に関しては、性暴力・性売買被害者支援の現在とその成り立ち、在韓米軍「基地村」で性売買に携わっていた女性たちによる「韓国内米軍慰安婦国家賠償請求訴訟」の経過、2018年4月の南北会談以降の韓国の女性平和運動と国際的な市民運動ネットワークの構築、また和平交渉への女性の参加を求める運動などが研究を進める対象としてより明確になった。朝鮮戦争が継続していることの影響をジェンダーの視点から分析することの意義を明らかにした。 沖縄、韓国、フィリピンでの米軍による性暴力や性売買の政治的背景と構造を理解する上で、あらためて東アジアにおけるアジア太平洋戦争後の米軍駐留の実態に目を向けた研究を進めることとなった。特に1948年の済州島4.3事件の解明を目指す研究との連携が重要な視点となった。 国連や国際NGOによる「武力紛争下の性暴力」の国際規範化は「女性・平和安全保障」政策などを中心としてさらに進んだが、それは、「長期駐留外国軍と性暴力」という紛争下ではないながらも紛争に備える状態である軍隊による性暴力の問題を排除することによって可能になった規範化であることを批判的に考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
韓国、沖縄でのインタビューや資料収集はおおむね順調に進展している。フィリピンでの活動に関しては2017年度(平成29年度)に沖縄で開催された米軍駐留地域のフェミニスト平和運動ネットワーク会議でブックロードセンターの活動やメンバーについて予備調査を行うことができたので、それに基づき、インターネットでのインタビューなどによって資料収集を継続している。また国連や国際NGOが進めている武力紛争と性暴力をめぐる概念や政策に関しては、2018年ノーベル平和賞がコンゴ民主共和国のデニ・ムクウェゲ医師とイラクのヤジディ―のナディア・ムラドに授与され、「紛争と性暴力」では武力紛争下の性暴力と暴力的な過激主義による性暴力という側面がさらに強調される傾向が顕著になった。この傾向について国連の関連部署や国際NGOの働きについて資料収集を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
主に平和安全保障政策における女性のエンパワーメントに関する考察を進める。「女性、平和安全保障 Women, Peace and Security」政策では、女性たちは紛争下の性暴力による被害者というだけでなく、平和構築における主体であることが謳われているが、その意味を長期駐留軍による性暴力の被害者/サバイバーの活動から検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
主に海外での資料収集を次年度実施としたため。これはインタビュー先とのスケジュール調整によるものである。またそれに伴い、謝金等の執行も次年度実施となった。また購入を予定していた書籍の購入が次年度実施となったため。
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