研究課題/領域番号 |
17K02094
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
秋林 こずえ 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 教授 (90377010)
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研究分担者 |
文 京洙 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (70230026)
宮城 晴美 琉球大学, グローバル教育支援機構, 非常勤講師 (80618786)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | フェミニスト平和運動 / 軍事性暴力 / 駐留米軍 / 基地村女性 / 女性・平和安全保障課題 / 島嶼フェミニズム |
研究実績の概要 |
今年度は主に、フェミニスト平和運動における軍事性暴力被害者・サバイバーの活動とその支援について沖縄、韓国での実践について調査を行った。また国連で女性・平和安全保障課題や女性の人権の分野で活動するNGOの動向について調査を行った。 沖縄については、駐留米軍の性暴力の問題に取り組む「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」の1995年の結成に至るまでの過程を再検討した。特に1975年から始まった国連「女性の10年」に関連して沖縄の女性運動が基地売春と性暴力の問題を国際的な課題としてきた経緯、また売春防止法が日本では1957年に施行されながら米軍占領下の沖縄では1970年に一部施行された上で1972年の復帰まで全面施行されなかったこととフェミニスト平和運動との関わりなどについて考察した。沖縄に関しては、軍事性暴力の問題に取り組む女性たちの運動を理解する上で島嶼の経験に基づくフェミニズム(Island feminism)という視座の可能性を探った。 韓国に関しては、駐留米軍基地村女性による国家損害賠償請求訴訟に関する資料収集と研究交流を行った。またその背景となる冷戦と朝鮮戦争、韓国の女性運動についての研究交流を行った。 国連を中心とする国際社会での女性・平和安全保障課題については、国連で活動するNGO、UN Women、紛争下の性的暴力担当国連事務総長特別代表事務所の活動などを検討した。また国連政治・平和構築局の東北アジア担当とともに北東アジアでの女性・平和安全保障課題の実施状況について検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は研究発表を予定し、特に沖縄のフェミニスト平和運動と軍事性暴力の問題を島嶼とフェミニズムという視点から検討するにあたって、Island Feminisms Conferenceでの活動を予定していた。しかし新型コロナウィルスのグローバル感染拡大の影響でそれらの研究活動が滞っていることなどから、研究発表に関してやや遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
延長しての最終年度は、新型コロナウィルス感染拡大の状況にもよるが、国連女性・平和安全保障課題に関連して、ストックホルム国際平和研究所や国連政治・平和構築局などを中心とした研究発表や研究交流をより緊密に行う。韓国に関しては基地村女性支援の初めての条例が京畿道で制定されるなどの進展があったことなどを背景として、被害者・サバイバーの政治活動についての調査をさらに進め、フィリピンの運動との比較を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
国連ニューヨーク本部で開催される女性の地位委員会総会での研究交流と資料収集を予定していたが、新型コロナウィルス感染拡大のために国連本部が閉鎖され、女性の地位委員会総会も中止されたために研究交流と資料収集を延期したため、次年度使用額が生じた。 2020年度にこれらを実施する予定であるが、新型コロナウィルス感染の状況によっては研究交流はオンラインでの実施となる可能性もある。その際にはオンライン実施のための環境設備整備や資料収集に充当する計画である。また、韓国で進められている運動に関する資料収集、研究交流に充当する計画である。
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