研究課題/領域番号 |
17K02095
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
菅野 優香 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 准教授 (30623756)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | クィア / LGBT / 映画祭 / コミュニティ / アクティヴィズム |
研究実績の概要 |
初年度(平成29年度)の実績としては、まず、『アメリカ文化辞典』(丸善出版)で「クィア」の項、および「HIV/AIDS」のコラムを執筆したことを挙げておきたい。また、クィア・LGBT関連の映画、映画祭に関する発表や講演をいくつか行った。10月に京都大学で開催された国際シンポジウム Cinema and Social Change in Japan で、"Community Building and Activism through Film Festivals”と題した発表を行い、映画祭がアクティビズムとしてコミュニティ形成にどのような影響を与えるか考察した。また、12月に京都で開催されたポーランド映画祭において、ティーチ・インを担当し、Maria Sadowska監督による映画 The Art of Lovingの作品解説、およびポーランドにおける女性監督および彼女たちの作品についてトークを行った。平成30年2月に京都大学で開催されたシンポジウム「アーカイブと理論:東映とその可能性」において「女性映画人の発掘―クィア/フェミニスト映画史の視点から」と題した発表を行い、東映撮影所における女性映画人の発掘の必要性と、そのための方法論的可能性についていくつかの提案を行った。また2月に福岡で開かれたシンポジウム「クィア/アクティビズム」で、「クィア映画の政治と美学」と題した講演を行い、ニュー・クィア・シネマを中心とするクィア映画における美学がラディカルな政治とどのように関連してきたのかを分析した。3月に同志社大学で開催されたワークショップ「新しい共同体のかたちー日本、アメリカ、ヨーロッパ」では、アメリカ映画におけるクィアな家族の表象を取り上げ、その傾向について分析した。 そのほかにも、国内4地域の映画祭に出向いて調査を行い、プログラミングや運営に関する調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国内の映画祭調査は実施計画にそっておおむね順調に進展したが、米国で行うことを計画していたデイトンLGBT映画祭およびカンザスシティ映画祭での調査を実施することができなかった。実地調査を補うため、当該地域およびLGBT映画祭に関する文献資料を収集し、その分析を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
2年目となる30年度は、米国での調査を集中的に行う予定である。南部の地方都市でふたつの映画祭(ルイスヴィルLGBT映画祭、クィア・ヒッポ国際LGBT映画祭)に加え、NY周辺の都市圏におけるクィア・LGBT映画祭についても調査を実施し、地方都市との比較を行いたいと考えている。運営組織やプログラミングの特徴などについて精査するとともに、地域との連携のあり方についてじっくり調査する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
米国での実地調査を行うことができなかったため、以上のような次年度使用額が生じた。30年度には、米国での調査を実施する計画である。
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