研究課題/領域番号 |
17K02095
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
菅野 優香 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 准教授 (30623756)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | クィア / LGBT / 映画祭 / セクシュアリティ / コミュニティ / アイデンティティ |
研究実績の概要 |
クィア・LGBT関連の映像や映画に関する以下の発表、講演を行った。奈良県女性センターで「LGBT 映像とリアルのあいだ」と題した講演を行い、ドキュメンタリー映画『ロバート・イーズ』(2000年)を題材に、日米のトランスジェンダーをめぐる社会の動きについて考察した。また、参加者との意見交換を通し、ジェンダー・セクシュアリティに関する広い問題についても議論した。京都市開催「たたかう、アート!LGBTの権利獲得運動とアートの関係を探る」シリーズの一環として行った講演「映画のなかのセクシュアルマイノリティ」では、思春期の少女のジェンダーとセクシュアリティを扱ったクィア映画を取り上げ、トランスナショナルなクィア映画史について考察した。世界女性会議ネットワーク関西主催の講演会で「『#Me Too』を生みだしたものーアメリカフェミニズム運動の現況と日本ー」と題した講演を行い、アメリカ、日本における現代のフェミニスト運動が、インターセクショナリティを重視し、ジェンダーに加えて、セクシュアリティや人種の問題を包摂した社会運動となっている現状について分析するとともに、現代フェミニスト運動におけるイメージ戦略の重要性を指摘した。京都市上京区主催の憲法月間映画のつどいにおいて「映像にみるLGBTの権利と自由」と題した講演を行い、日本のLGBTをめぐる状況について考察した。日本国憲法および世界人権宣言を参照しながら、日本国内におけるトランスジェンダーの権利と法的課題を指摘した。「ヒッチコック問題 『レベッカ』と『マーニー』をめぐるフェミニスト/クィア批評」(『文藝別冊 ヒッチコック生誕120年』河出書房新社)を執筆し、クィア映画批評とフェミニスト映画理論からみたヒッチコックのミソジニーやセクシズムの問題について考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
在外研究を開始した今年度は、滞在先での研究発表およびワークショップの日程と重なってしまったため、当初予定していたルイスヴィルLGBT映画祭(ケンタッキー州ルイスヴィル)、クィア・ヒッポ国際LGBT映画祭(テキサス州ヒューストン)への参加、および日本国内の映画祭の現地調査を実施することができなかった。そのため、ニューヨーク市を拠点に、米国のクィア・LGBTに関する映画文化とアクティビズムに関する現地調査を進めると同時に、文献資料の収集とその分析を行った。ストーンウォール蜂起50周年を記念してさまざまなシンポジウムや上映会が行われていたため、米国におけるクィア・LGBTコミュニティやアクティヴィズムの歴史とアーカイブのあり方に関する調査を集中的に行った。
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今後の研究の推進方策 |
在外研究終了後は、遅れを取り戻すべく、国内および、アメリカの地方都市の映画祭の現地調査をただちに行う予定である。また、日本および米国の地方都市におけるコミュニティの生成やアクティヴィズムに加え、アーカイヴの重要性についても今後の研究に含めていきたいと考えている。また、研究成果を社会に還元するために、論文の執筆とともに、講演会や研究発表等の活動も活発に行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
在外研究の開始により、日本および米国での現地調査に変更が生じたため次年度使用額が生じたが、在外研究終了後は、予定通り、現地調査を行う予定である。
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