研究課題/領域番号 |
17K02095
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
菅野 優香 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 准教授 (30623756)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | クィア / LGBT / 映画 / コミュニティ / アイデンティティ / アクティズム |
研究実績の概要 |
2020年度は、LGBTQ映画祭がどのようなメディア・アクティビズムたりえるのかを分析し、また、広い文脈のなかで映画とLGBTQアイデンティティとコミュニティとの関係について考察した。以下に成果をまとめる。“Queer Resonance: The Stardom of Miwa Akihiro,” The Japanese Cinema Book, ed. Hideaki Fujiki and Alastair Philip (London: BFI/Bloomsbury, 2020)は、日本映画とクィア・スターダムを主題とするものの、映画祭の重要性について言及している。「クィア・シネマの現在」『Inside/Out ―映像文化とLGBTQ+』(早稲田大学坪内博士記念演劇博物館, 2020年)では、アメリカのニュー・クィア・シネマの誕生が映画祭と深く関わっていたこと、また、市場の原理に依存しない文化実践としてのクィア映画祭の役割について論じた。広島県男女共同参画センター、エソール広島では、「映画とLGBTQ」と題した講演を行い、日本におけるクィア映画祭の役割について触れた。京都大学全学シンポジウム [Queer Visions in East Asia]において、「クィア・シネマとは何か」と題した発表を行い、映画祭とコミュニティの関連について述べた。The Daiwa Anglo-Japanese Foundation Seminar (英国)の講演 Queer Cinema in the West and Japanでは、“ Activist Films and Queer Communities in Japan"と題した発表を行い、アクティビスト・フィルムの動向とともに、情動の社会空間としてのLGBTQ映画祭について述べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査対象としていた映画祭のうち、アウト・ヒア・ナウ:カンザスシティLGBT映画祭、ルイスヴィルLGBT映画祭、クィア・ヒッポ国際LGBT映画祭(以上アメリカ)、レインボー・リール東京:東京国際レズビアン&ゲイ映画祭、青森インターナショナルLGBTフィルムフェスティバル、大須にじいろ映画祭、関西クィア映画祭(以上、日本国内)については、新型コロナウィルス感染拡大の影響で、中止、延期になったが、オンラインに移行して開催を継続した香川レインボー映画祭に関しては調査、分析をすすめることができた。調査、分析から理論化、成果発信に重点を置いた2020年度は、論文や講演を中心に研究をすすめたため、研究の進捗状況としてはおおむね順調に進展したといえる。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症の世界的流行は、それまで当然の前提であった、対面での開催が不可能となり、LGBTQ映画祭のあり方を大きく変えることになった。本研究課題を構想した時点では全く予想していなかった事態が生じたが、オンライン開催やその他のかたちで開催される映画祭の変容が、コミュニティ生成にどのような変化をもたらすのか分析していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染拡大の影響により予定していた米国および日本での現地調査が不可能になった。今年も多くの映画祭中止、延期になるか、さもなくばオンラインに移行することが考えられるため、論文や講演を通じた成果発信とコミュニティへの還元につとめる。
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