本研究は植民地朝鮮におけるセクシュアリティ言説を調査し、植民地の〈性〉の地理学的配置の可視化することを目的とする。本研究、旅行案内、ガイドブック、雑誌記事、小説などの言説資料と、絵葉書、地図などの視覚資料からアプローチし、植民地の遊廓・歓楽街を立体的に描き出す点にある。旅行案内、ガイドブックなどでは妓生や私娼といった朝鮮人女性、また遊廓などのセクシュアリティ空間が観光資源として消費され、それだけではなく、朝鮮人女性と日本人男性の接触は、植民地の「異文化体験」として、植民地への興味・欲望を掻き立てる装置となり、植民地統治を、セクシュアリティの面からも支えていたことが明らかになった。
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