本研究は、昭和初期にラジオを通して都市部の上層・新中間層の中に形成された母親像とその過程でラジオが果たした役割を明らかにすることを目的とした。具体的には、ラジオの女性向け番組の内容の分析から、ラジオが創出した母親像を検討した。 結果としてラジオに表出した母親像として「子供の教育に熱心な母親像」、「近代科学的な視点で生活を捉え直す母親像」、「西洋文化の普及による生活様式の変化に肯定的な母親像」の3点を、こうした母親像が形成された社会的背景とともに明らかにした。さらに、女学校教育との継続性を検討に加えることで、成人女性にとってのラジオの教育的意義を指摘した。
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