研究課題/領域番号 |
17K02107
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
寺岡 伸悟 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (90261239)
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研究分担者 |
櫻井 清一 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 教授 (60334174)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 農村観光 / 異業種連携 |
研究実績の概要 |
国による農商工連携の認定事業例を中心に、必要に応じて先進的な事例も加えて、観光を含む異業種連携事業を選択し、観光業者と農業者による連携、連携のなかで結果として観光が創発したタイプに分け、それぞれにおける異業種連携の成立の条件、事業化の課題、持続のための地域貢献と利益追求のバランス、さらに観光が有する効果等を、インテンシブなインタビュー等によって明らかにしてきた。 今年度は、前年度までに農商工連携事業認定事例として調査した栃木県の地域企業が沖縄県に事業展開したことに注目し、沖縄県うるま市の事例を訪問調査し、その意義や手法、課題などについて調査した。また琉球大学などにおいて関連の研究者の訪問インタビューを行ない、地域社会という少し広い枠組みから、こうした観光をふくめた異業種連携の潮流やプロセス、さらに沖縄における現状などを聞いた。 また、学会や研究者個別の事例調査によって、各地の事例や状況についても知見を深めた。 こうした結果や共同のディスカッションの成果をもとに前年度に2つの学会で報告した研究成果を整理し、論文化を行い、一つの国内学会誌、1つの国際学会誌にそれぞれ投稿し、両方とも、査読をへて研究論文として掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料や聞き取り調査を進め、まだ初年度からの研究結果を振り返って分析すればするほど、農村観光の難しさが明らかになってきた。これは計画実施当初の予想を超えるものであった。したがって、当初は農商工連携認定事業をベースに、その中に観光要素が当初から入っているものと、連携後に観光が創発したものとに区分して進めてきたが、両者ともに、問題を抱えた事例が多く、かつその要因(複数ある)は上記の区分とは別の次元に端を発していることも徐々に明確になってきたため、まずこうした農村観光のかかえる困難な状況を整理して国際学会で報告することなどに焦点を合わせることとした。結果、成功事例の報告が多かった学術状況のなかで、農村観光の困難さについて、国内国外両学会で報告できたことは、大きな進捗であった都考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
農村観光の困難さ。難点を中心にした研究。前年度までの知見をもとに、農村観光の困難さ、課題克服に焦点をあてた研究を進めていくことが重要であると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究内部の点からいえば、既述のように、農村観光の困難さという課題が当初予想より明確に明らかになったことによって、一部研究の焦点を特化し再計画すべきだと判断したこと。 いまひとつは、この科研では、年度末に例年出張調査を行なってきたが、コロナウイルスのために出張が難しくなり、また先方の状況も調査を受け入れられる状況ではなくなったことが理由である。
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