研究課題/領域番号 |
17K02108
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
足立 基浩 和歌山大学, 経済学部, 教授 (30283948)
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研究分担者 |
道上 真有 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (30527693)
上野 美咲 和歌山大学, 経済学部, 研究支援員 (30706693)
大泉 英次 追手門学院大学, 地域創造学部, 教授 (80116293)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | インバウンド / 観光経済 / 中心市街地 / 地価 / 地域関連データ / 大都市近接型都市 / 大都市非近接型都市 / 計量分析 |
研究実績の概要 |
以下、平成29年度における本研究にかかわる幾つかの業績について示したい。まず、大泉であるが、「住宅市場をどう動かすか」(2018、日本住宅会議『住宅会議』第102号、2018年2月、3-5ページ)を執筆している。市街地経済において重要な要因を占める住宅地の経済分析を行っている。また、上野は「観光とまちづくり」((上野美咲、石原武政)碩学社「小売業起点のまちづくり(石原武政、渡辺達朗編著)」に所収、pp194-212、2018年)を執筆し、観光経済の最近の動向を示した。続いて、足立は「都市を客観的に理解する(第4章)」(石原武政、足立基浩「小売業起点のまちづくり(石原武政、渡辺達朗編著)(碩学社)」に所収、pp66-86 2018年)と、「まちの資源を確認する(第5章)」(足立基浩 石原武政「小売業起点のまちづくり(石原武政、渡辺達朗編著)碩学社」に所収、pp87-101 2018年)を執筆した。「都市を客観的に理解する」の論考においては、都市研究におけるデータの利用方法や、その解釈などについて詳細な説明を行っている。また「まちの資源を確認する」では、観光地の資源を「ソフトな資源(地域での行事など)」、「ハードな資源(伝統的建造物群保存地区など)」などに分類し、それぞれが市街地観光にとって重要である点を示した。道上は海外への出張のために現地調査を中心としており、業績としてのものはないが、今後まとめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は「観光エリアマネジメント活動が地方の市街地の経済活動に与える効果に関する研究」における基礎研究を行った。各メンバーがそれぞれの観点から基礎調査を行った。以下、平成29年度に実施した内容について示したい。1)地域の経済状況を示すマクロデータについて、経済産業省・国土交通省等の官公庁ならびに、各都市の観光組合、観光デベロッパー等にヒアリングを行った。個別データの収集としては、東京都心部の港区麻布10番商店街にて、ヒアリング調査を行い、また地方都市の市街地観光エリアマネジメントの実例として、宮崎県宮崎市などを訪問した。研究メンバーの一人である道上はモスクワにおける観光と市街地再生についてデータを収集中である。2)地方都市において観光商店街活動動実態に関する調査を実施した(今年度実施者:足立、上野、大泉)。インバウンド客数の大小を元データとして、以下の都市を抽出し調査を行った。 大都市近接型: 大阪市、東京都中央区、品川区 大都市非近接型: 宮崎市、和歌山市、富良野市 上記の都市においては、昨今のインバウンドの状況、市街地の再生のここ数年の政策の方向性、歩行者交通量等についてヒアリング調査、分析を行った。この結果、東京都では必ずしもインバウンドが地域経済の改善につながっているとは限らない、との結論を得た。一方,大阪を中心とする関西圏の市街地では過去3年において特にインバウンド観光客が増加し、ひいては地価の上昇にも貢献している点を確認した。この点について次年度(平成30年)はさらに深める形で分析を行いたい。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は上記の都市群で収集されたデータを利用して、被説明変数に人口や地価などのデータを収集し、説明変数にエリアマネジメントの存在などを示すデータを用いて構造型ヘドニック分析などの統計分析を行いたい。特に、海外におけるエリアマネジメントの効果分析を行うために、エリアマネジメント実施前後で地価や家賃などのデータがどのように変化をしたのか、DID(Difference in Differences)分析などを実施する。また、地価データとその要因については常に同時決定的な構造を有するために、操作変数法をもちいた推定を行う。ここでの効果分析地方都市の地価とそれに影響を与える要因に関するパネルデータを用い、共和分分析などを用いながら地価が上昇するメカニズムについて計量分析を行う。その際には内性変数、外性変数を区別し、操作変数法などの手法でインバウンドと市街地の地価との関係について分析を行う。平成31年度は前年に引き続き、対象地域におけるエリアマネジメント活動と地価に対する影響に関する実証分析、結果考察を行う。また、観光市街地における商店街の存在が地価に与える影響についても分析を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究メンバーの一人である道上真由に急きょ海外出張(1年)が生じ、現地での研究は適宜実施されているものの、当初予定されていた予算消化ができなかったため。その他についてはおおむね順調に予算消化ができているものと思われる。 (次年度使用計画)メンバーの道上氏の昨年度予定されていた国際調査(40万円)、それに伴う人件費(6万円)、設備費(7万円)、消耗品費(7万円)その他(4万円)については当初の予定額を本年度内で利用することとする。
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