研究課題/領域番号 |
17K02114
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
原 直行 香川大学, 経済学部, 教授 (40304571)
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研究分担者 |
山下 里加 京都造形芸術大学, 芸術学部, 教授 (00411314)
福 のり子 京都造形芸術大学, アート・コミュニケーション研究センター, 教授 (10411307)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 地域芸術祭 / 瀬戸内 / 島しょ部 / まなざし / 移住者 |
研究実績の概要 |
本研究は、2010年からスタートした「瀬戸内国際芸術祭」の10年間を継続的に捉え、開催地域への影響や人々の変化を観察するものである。研究のアプローチとして①10年間の地域変化データを詳細にレビューし、②本研究申請者の研究成果に継続して、今後3年間の芸術祭ステイクホルダーの意識変化を捉える複数の調査を実施する。後者では理論仮説としてJ.アーリ「観光のまなざし」論を据え、ステイクホルダーの地域やアートへの新たな「まなざし」を現出し獲得するプロセスを捉える。最終的には①の枠組みの上に②の調査結果を重ね、10年間で対象の何が・どう変化したのかを精緻に捉えることを目的とする。これにより全国の芸術祭に汎用可能な、サスティナブルな社会の維持発展にとって観光が果たす重要な視座を捉えることを目指す。 そのため、研究は大きく2つに分けられる。1つは地域全体を俯瞰的に捉える各種公表データを仔細に調査収集し、その変化を視覚的に整理することであり、もう1つは地域住民、移住者、訪問客の三者を対象にした新たな定性・定量調査を実施することである。 当初の3年間で各種調査の実施、ACOPワークショップの実施、及び過去からの個別の継続調査を併せた10年分のデータ集計・分析を行い、適宜、個別に学会発表等の発信を行う。 そのため、本年度では過去10年間の瀬戸内海の豊島を対象に、移住者および店舗の情報収集を行うとともに、併せて訪問客を対象にアンケート調査を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.地域全体を俯瞰的に捉える各種公表データを仔細に調査収集し、その変化を視覚的に整理することについては、瀬戸内海豊島の人口統計、移住者数推移データ等の収集したデータに基づき分析を行なった。また、店舗・宿泊業等の産業・地域社会の数量データの収集に基づき分析を行なった。 2.地域住民、移住者、訪問客の三者を対象にした新たな定性・定量調査を実施することについて。①移住者については、昨年度の引き続き、移住した理由、現在の暮らし、瀬戸内国際芸術祭の捉え方、今後のことなど詳細な聞き取り調査を行なった。②訪問客については、瀬戸内国際芸術祭前年のデータをとるために夏期に調査を実施した。③ACOPワークショップについては、昨年度実施したプレ・ワークショップの修正を行なった。
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今後の研究の推進方策 |
1.地域全体を俯瞰的に捉える各種公表データを仔細に調査収集し、その変化を視覚的に整理することについては、2019年度に空家調査および景観変化の画像データの収集・分析を行なう。翌2020年度に地域データ全体の分析結果のまとめとともに学会報告を行なう。 2.地域住民、移住者、訪問客の三者を対象にした調査について。①移住者については、2019年度にインタビュー調査を行ない、2020年度に分析結果をまとめて学会報告を行なう。②住民については、聞き取り調査をもとに2019年度の瀬戸内国際芸術祭実施後にアンケート調査を実施し、2020年度に分析結果をまとめて学会報告を行なう。③住民小中学生については、2019年度の瀬戸内国際芸術祭実施後にアンケート調査を実施し、2020年度に分析結果をまとめて学会報告を行なう。④訪問客については、芸術祭前の2018年度と芸術祭期間中の2019年度にアンケート調査を実施し、2020年度に分析結果をまとめて学会報告を行なう。⑤ACOPワークショップについては、2019年度にワークショップを実施し、2020年度に分析結果をまとめて学会報告を行なう。⑥全体総括については、毎年度、研究代 表者・研究分担者・研究協力者が複数回集まり、各自の研究成果報告と今後の実施内容について議論するとともに、最終の2020年度に個別調査結果の収集、ファインディングス整理、まとめ編集、報告書の作成を行なう。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度は西日本地域は特に夏期において、豪雨や台風などの自然災害があったため、共同調査が実施できなかったことが一番大きな要因である。 そのため、瀬戸内国際芸術祭が行なわれる2019年度に集約的な調査を行なうこととし、2019年度に執行する計画である。
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