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2018 年度 実施状況報告書

移住促進政策と「移住の失敗」の実態調査

研究課題

研究課題/領域番号 17K02118
研究機関高知県立大学

研究代表者

宇都宮 千穂  高知県立大学, 文化学部, 准教授 (10512098)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード移住者 / 生業・仕事 / 失敗 / 暮らし
研究実績の概要

①我が国における移住実態について「ふるさと回帰支援センター」および「JOIN」で資料収集・聞き取り調査を行った。ここで得られた情報をもとに、移住者受け入れ先進地である高知県梼原町の調査を実施した。梼原町では、移住者受け入れ体制と移住者本人への聞き取り調査を行った。これらの調査結果をもとに、「なぜ梼原町に移住するのか」というタイトルで合同研究発表会(愛媛大学)にて報告を行った。梼原町では、移住者に特化した政策が充実しているというよりは、住民全体に対する生活支援政策が多岐にわたっていた。これが移住者にとって魅力的であることに加え、移住コーディネーターのきめ細かな対応が移住を決断させる決定打となっていた。移住の成否は、以上のような受け入れ側の制度や体制によるところも大きいことがわかる。
②「移住を諦めた移住者」と類似の「移住を繰り返す移住者」に対し、調査を行った。岡山県から鳥取県に第二の移住を行った移住家族を対象に、なぜ移住を繰り返すのかという移住者本人の主観的な部分を聞き取る一方で、結果として移住後は何をしているのかについて客観的にとらえるようにした。ここで得られたデータについては、次年度に研究会または学会で報告する予定である。
③高知県における移住政策の中間評価を行うための資料・データ収集を行っている。これらについては、論文にまとめて次年度の前期に発表予定である。
④研究プロジェクト「中国四国地方の中山間における移住者・協力隊・外国人:大川村から考える」において、移住者・地域おこし協力隊・地域住民とディスカッションを行った。また、講義「地域学概論」では、高知県内在住の移住者を招き、移住の経緯や移住後の暮らしに関する報告を聞き、学生とともにディスカッションを行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2018年度は、高知県、鳥取県、東京で移住に関する制度および移住者への聞き取り調査を行なった。
①高知県では、梼原町と大川村を対象に調査を行った。梼原町は移住者受け入れの先進地であることから、移住者本人へのインタビュー調査だけでなく移住者受け入れ政策とその体制の調査を実施した。移住者受け入れ政策については、梼原町役場での聞き取りを行い、教育・住宅・移住者サポートを中心にデータを収集した。また、移住者本人へのインタビューでは、40代の移住者(男性)から、仕事や暮らし、考え方について、移住前と後の両方について聞き取った。
②高知県大川村では、ワークショップ「中国四国地方の中山間における移住者・協力隊・外国人:大川村から考える」に参加し、移住者の仕事や生活歴、価値観を聞き取った。ここでは、移住者が移住先で何を実現しようとしているのかが浮き彫りになる一方で、移住先での暮らしのあり方に課題が垣間見える結果となった。また、移住者には共通項があることも見出された。
③鳥取県智頭町においては移住者夫婦によって経営されているパン屋「タルマーリー」で調査を行い、生活歴、生計の立て方、移住者と行政や地域との関係性についてデータを得た。
④以上のほか、東京ではNPO法人ふるさと回帰支援センター及びJOINにおいて、情報収集・資料収集を行った。特にふるさと回帰支援センターでは、移住相談の実態と傾向について最新の情報を得ることができた。また、受け入れ自治体の取り組みの特徴、移住歴の長いパターンなどについても情報を得た。
今年度の調査では、移住を繰り返した移住者、移住をやめた事例など、移住の失敗に関する情報を多く得ることができた。どのような時に移住をあきらめるのか、何が次の移住のきっかけとなるのか、など、ある一定の傾向があることが明らかになりつつある。

今後の研究の推進方策

①移住者インタビューをさらに進めていく。インタビューは、移住者本人に対して行うだけではなく、移住コーディネーターなどの移住者受け入れ側にもインタビューを行い、地域における移住政策の意義について明らかにしていく。
②地方創生政策における移住政策の取り扱いについて、ここ数年の概要をまとめる。同時に、高知県や鳥取県など各地域の移住政策と成果を検討していく。
③移住者が移住先でどのような仕事を選び、何を実現しているのかについて論文を発表する
④移住者受け入れ側の自治体の移住政策の成果と、人口の増減を関連づけた調査ついて研究発表を行う

次年度使用額が生じた理由

次年度に学会報告・県外調査のほか、報告書作成を計画している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] なぜ梼原に移住するのか2018

    • 著者名/発表者名
      宇都宮千穂ほか
    • 学会等名
      合同研究発表会
  • [図書] 大学的高知ガイド2019

    • 著者名/発表者名
      高知県立大学文化学部
    • 総ページ数
      384
    • 出版者
      昭和堂
    • ISBN
      9784812218174

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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