研究実績の概要 |
当該年度の主な研究成果は次のとおり。①は国際学会(ブルガリアのソフィアで開催された69th AIEST Conference)での口頭発表であり、日本の地方観光ガバナンスにおける本質的な課題を日本のDMOを対象に西洋と東洋の比較から多元的なアプローチによって考察した。②は、スイスのDMOの現地調査(ザンクトガレン州)結果を基に論文を公表した(「財源の観点からみた日本のDMOにおける本質的課題」,『北海道地域観光学会誌』(第6巻第2号1-10頁、2019年)。また関連研究文献の書評を公表した(Swiss Public Administration; Making the State Work Successfully」,『北海商科大学論集』第9巻第1号、34-41頁、2020年2月)。 研究期間(3か年)全体を通じた主な研究成果は以下のようにまとめられる。研究の主目的はスイスのDMOにおける財源確保の実態を参考に今後日本の市町村における主体的自立的観光振興を探究することであり、研究によって得られた主な意義および研究上の重要性は次のとおり。①近年日本においては欧米型DMOを参考とした日本型DMOに設立によって地方での主体的自立的観光振興を推進しようとする動きがあるが、地方の行財政制度や地方分権のあり方など単に観光推進主体の課題にとどまらない本質的課題の存在が明らかとなった。②また地方においてDMOを主体的自立的に推進していく目的は、地方での生活の質の向上であることから地方ガバナンスこそが重要であるとの知見を得た。③地方におけるDMOの財源確保には、観光税収入はもとより地方自治体から得られる財源が重要であり、国と地方との行政関係構造の再構築が重要な課題であるとの示唆を得た。
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