研究課題/領域番号 |
17K02124
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研究機関 | 桜美林大学 |
研究代表者 |
五十嵐 元一 桜美林大学, ビジネスマネジメント学群, 教授 (00347808)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ホスピタリティ産業 / 顧客 / 生産性 / イノベーション / 事例研究 / インタビュー |
研究実績の概要 |
本研究課題による研究3年目の2019年度は、継続して応用的な研究期間として位置づけている。研究2年目の昨年度に米国で行われたホスピタリティ産業関連の国際会議に参加し、ホスピタリティ産業のイノベーションは、経営戦略、組織、リーダーシップ、モチベーション、人材、働き方、進化したICT(情報通信技術)の活用によるマーケティング、オペレーション等の有機的な結合によって創出されるものと捉える機会を得た。 その捉え方をもとに、本年度は仮説の一般化や外的妥当性を高めるために、国内のホスピタリティ産業(ホテルや旅館などの宿泊業と飲食業)における事例研究による検討を実施した。高い顧客満足度や受賞歴のあるホテル・旅館・レストランを対象に、半構造化自由回答法によるインタビューを実施した。複数企業に対するインタビューの結果から、顧客の創造と生産性の向上に資するフレームワークを成す要因を指摘した。それらは、顧客に適したサービスの提供、分業化と情報共有、マルチタスク化、マニュアル化と非マニュアル化、コストに対する意識、休暇・休日の増加と残業の削減、多様な働き方の選択肢、スタッフとAI等のテクノロジーが果たす役割、一見生産性が低いように見えるが顧客もスタッフも満足できる仕事の仕方、研修や職場環境に起因するモチベーション、モチベーションを上げるリーダーシップといったものである。それらの有機的な結合による仮説を立て、次年度の開発研究における仮説検証のためのアンケート調査の準備を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究3年目は、仮説の一般化や外的妥当性を高めるために、国内のホスピタリティ産業で高い顧客満足度や受賞歴のあるホテル・旅館・レストランを対象に、半構造化自由回答法によるインタビューを実施した。その結果、顧客の創造と生産性の向上に資するフレームワークを成す要因を指摘した。所属学会における発表や議論を通じてその精度を高める試みを行い、仮説を立て、次年度の開発研究における仮説検証のためのアンケート調査の準備を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
開発研究として、研究3年目までの基礎・応用研究で構築した仮説の検証を行い、ホスピタリティ産業における顧客満足度と生産性向上のためのイノベーションモデルを提示する。具体的には、国内の顧客満足度の高い企業、サービスに関する受賞企業やランキング企業とホスピタリティ産業関連諸団体に加盟する企業に対して、定量的なアンケート調査を実施し、その差異分析をもとに仮説の検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
直接経費の前年度からの繰越に本年度(平成31年度)の受入金額を加算したものから、本年度の支出の差分は13,802円、執行率は96.9%であり、累計上ほぼ計画通りに予算を執行して研究を進めている。全国的に行う定量的なアンケート調査は本年度に準備済みであり、次年度は、調査結果の分析を中心に行い、その結果に対して文献調査やヒアリング調査で補足できるようにする。研究成果の発表のために所属学会の大会への参加や、事務用消耗品の購入が必要となる。それらに関する物品費、旅費、その他の費用に充当することを計画している。
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