研究課題/領域番号 |
17K02126
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
中嶋 真美 玉川大学, 文学部, 教授 (80555409)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | エコリゾート / エコロッジ / タンザニア / NGO / 持続可能な観光 / エコツーリズム / 地域貢献 |
研究実績の概要 |
本研究は環境配慮型観光ビジネスであるエコリゾート(ER)を取り上げ、ERによる環境配慮型観光の可能性と影響力について、タンザニア(TZ)およびモザンビーク(MZ)を事例に学際的視点から検証、考察する。 【研究手法】 (1)文献調査による観光動向等の各関連分野の既存研究の到達点確認 (2)現地聞き取り調査・参与観察の実施(3)現地調査の結果整理及び解析【調査実施地域】TZアルーシャ州【調査対象者】ER事業関係者(経営主体、被雇用者等)、関連観光業従事者、各支援団体(NGO)【調査内容】(1) ER運営の各利害関係者に対する地域発展貢献に関する現状把握 (2)滞在観光客の観光動向・志向性の把握 【研究成果の意義・重要性】2019年度調査ではERの一環であるエコロッジによる具体的な地域社会への貢献が担保される仕組みに着目した。また昨年度より引き続き「よそ者」と位置づけられる外部事業運営者による地域社会との関係維持のための活動に焦点を当てる中で、特にNGO/NPOの果たす役割に焦点を当て研究を行った。持続可能性に配慮したEL運営の継続実施には、その目標やゴール、或いは理念が首尾一貫していること、そのいずれにおいても適切な責任感や倫理観が含まれていることが重要であるが、その実現と継続にあたっては利潤追求重視の運営組織では継続実施し難いことから、NGO/NPO の関与の仕方が鍵を握るケースが見られる。調査地においてERは観光による弊害の低減策を持続的に講じることのできる存在として当該社会において有効に機能することが確認できた。消費型観光ではないERを通じた持続可能な観光の実現に向け、継続調査を実施する意義は大きいと考えられる。 【成果の公表】令和元年10月 第23回日本国際観光学会全国大会(桜美林大学)「アフリカにおけるエコロッジ運営とNGO関与のあり方――タンザニアを事例に」
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年3月、4月に海外研究調査地の状況変化(モザンビークの調査地(カーボ・デルガド州)がサイクロンにより被災し現地調査継続が実施不可となった)により、研究計画の変更が生じた。また学務エフォートの増加も重なり、計画通り且つ適切に研究を実施・完了することが出来ないため、研究期間の延長申請を提出した。現在、2017年度にタンザニアから1事例、2018年度にモザンビークでの1事例、2019年度にタンザニアから1事例の計3件の事例データを取り、現在、分析中である。新しく2019年度の得た事例データについては日本国際観光学会での学会口頭発表での公表に至っている。ただし、研究期間全体としての研究達成度は当初の予定より遅れが見られる状況にある
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今後の研究の推進方策 |
本来であれば2019年度を研究完了年度とする予定であったが、調査地の状況変化を主たる理由とし、延長申請を行った。またその後の新型コロナウィルス感染拡大の影響も不可避であり、2020年度前半は文献を中心とした研究の推進を検討している。2020年度は新規研究調査地での調査実施(年2回)を計画していたが、感染拡大の状況によっては文献研究のみに変更予定である。また、これまでの研究調査結果を合わせて年度内に2回の成果発表(口頭及び学会誌投稿)を予定している。感染症拡大の影響は現時点では予測不可能なため、状況に即して研究方法を変更し、成果に繋げられるよう心掛けたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
【理由】 2019年度はモザンビークの調査地(カーボ・デルガド州)がサイクロンにより被災し現地調査継続が実施不可となったことを主たる要因とし、また学務の都合により、当初の計画からの内容変更を余儀なくされた。現地調査の機会の減少により、特に旅費や謝金等の部分で経費支出が減少した。 【使用計画】 2020年度は本来の計画にはない年度であるが、これまでに達成できなかった研究内容を完遂するべく研究に取り組む予定である。具体的には、新型コロナウィルス感染拡大の状況の終息時期にもよるものの、これまでに実施できなかった現地調査の実施経費(移動費、滞在費、研究協力者謝金等)の一部および国内研究活動経費の一部として使用する予定である。
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