研究課題/領域番号 |
17K02132
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
藤稿 亜矢子 東洋大学, 国際観光学部, 准教授 (20732754)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地域主体(コミュニティベース) / 環境保全 / 観光 / サステナブルツーリズム / エコツーリズム |
研究実績の概要 |
本研究では、環境保全と地域社会の発展を目指したサステナブルツーリズムの一形態と考えられるCBET(Community-based ecotourism)に焦点をあて、カンボジアでの事例調査を通してその評価手法の構築を目指しているが、まず、今年度はもっとも基盤となる理論の確立のため、国内外の文献調査(学術論文、書籍、関連する国際機関が有する資料やウェブサイト)から実施した。観光と環境、サステナブルツーリズムに関する文献を分野横断的にレビューし(日本にはまだほとんど文献がないため、すべて洋書)、これまでの定義や類型を整理してサステナブルツーリズムの理論と方法論を明確にした。その結果は、書籍としてまとめ刊行した。 その上で、サステナブルツーリズムの実践のための評価手法について、具体的にどのような評価項目や指標が有効か検討し、実証調査手法を構築した。8月末~9月初めには、カンボジアの農村部を訪問し、CBETの一事例であるメコンカワイルカツアーを対象として、現地でのステークホルダーへのインタビュー、参与観察等を通して、それらの評価項目や指標の有効性を検証した。 また、9月中旬には、先進国におけるCBETを視察するため、イギリスのカンブリア自然保護区を訪問し、その地域を管理する自然保護団体、およびそれらの自然保護区でエコツーリズム活動を行っている地域住民によるNPOなどにインタビューを実施した。同工程において、ドイツのフライブルグで実施されたIUFRO(国際森林研究機関連合)の国際学会に参加し、森林保全とエコツーリズム等のセッションに参加、意見交換と情報収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度にもっとも重要と考えていた、サステナブルツーリズムに関する既往研究のレビューと整理、理論構築が完成し、具体的にそれを書籍にまとめることができた。また、今後の実証調査に重要となる評価手法についても、構築したのちにそれを実際にフィールドで検証することができた。その結果から、評価手法のさらなる見直しを行い、来年度以降のフィールド調査に生かすこととする。一方、カンボジア現地で、思っていたよりは地図情報に関する資料が不足しているため、それらのデータに関しては収集が少し遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、フィールド調査を中心に行う予定で、CBET評価のための現地調査を、最低でも2回は実施する。すでにカンボジア観光省とは、現地でその旨について打ち合わせを行ってきており、また、現地NGOとも今後の調査の打ち合わせもしていることから、今後の協力体制は整っている。当初想定していたよりも、的確な地図情報データの発見と収集が容易ではないため、今後は観光省以外の省庁(特に環境省)とも連携をしながら、不足しているデータを収集していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入予定であった、GPS機能つき防水カメラの購入をまだ行っていない。
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