研究課題/領域番号 |
17K02133
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研究機関 | 浜松学院大学 |
研究代表者 |
鄭 玉姫 浜松学院大学, 現代コミュニケーション学部, 講師 (80742163)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 都市移住者 / 観光業 / 地域コミュニティ / 済州島 |
研究実績の概要 |
令和2年度は、前年度に実施した現地調査の分析を引き続き行うとともに、研究対象地域における新住民と旧住民によるコミュニティの仕組みの解明に努めてきた。 これまでの調査結果によると、移住者は移住先としての地域に対する意識が薄く、地域のコミュニティへの加入状況も低調であった。ここでいうコミュニティとは、町内会や婦人会、青年会などを指す。それに対して、旧住民の方でも移住者をあえて、地域の一員として受け入れようとする意識が薄かった。そのため、婦人会や青年会などへの勧誘もしていない。これには、移住者(新住民)の経済活動に因んだ側面がある。つまり、移住者たちは、主にカフェ等の飲食店やゲストハウスのような宿泊施設を運営しており、旧住民は農・漁業に携わっているなど、両者の経済活動の内容の差異が大きい点が指摘できる。旧住民側に立つと、彼らは自分たちの生業を守ろうとする意識が強く、観光客向けの商売をする移住者はいずれは地域を離れていく部外者であるとみなしているといえよう。それから、移住者側に焦点をおくと、婦人会や青年会のような地域全体に関わるコミュニティを持った交流はない彼らであるが、例外に近所付き合いのいいケースは確認できた。 引き続き、調査結果を深めていくとともに、両者を対象に行ったインタビュー調査の結果を取り入れながら、移住者の存在が農村地域に与えるインパクトを明らかにする。そのうえ、移住者の増加にともなう農村地域の観光地化という地域変容プロセスに旧住民と新住民間の相互関係を組み込んで地域変化の解明を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和2年度においては、新型コロナウイルス感染にともなう、さまざまなことが起きる中、講義の準備と学内の校務等に大変な時間を費やしてしまった。そのため、研究時間の確保がなかなか難しい状態になってしまい、来年度までと研究期間を再々延長していただいた。これらを総合して本研究は「遅れている」と選択させていただいた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度を最終年度とするので、とにかく研究時間を確保して、研究を進めていきたい。 研究の内容としては、上記の「研究実績の概要」に基づき、済州島旧左邑における移住者による農村地域の観光地化という視点から地域変化の解明を試みる。 研究結果は、国内の学会誌への投稿で公開を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度におおむね研究が遅れていたため、未使用額が発生した。 今年度においては、これまでの研究結果を取りまとめて学会誌への投稿などを積極的に行う予定であり、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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