研究課題/領域番号 |
17K02138
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
宍戸 学 日本大学, 国際関係学部, 教授 (00364290)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 訪日教育旅行 / 地域の受入対応 / 民泊 / 学校交流 / 学校交流コーディネーター / 訪日教育旅行データ / 広域対応 / ツーウェイ・ツーリズム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、「訪日教育旅行」誘致の持続的な取り組みに向けた受け入れプラットフォームを構築し、そのモデルを関係者に周知することである。 研究3年目(最終年度)は、2年間の基礎研究及び地域事例に加え、より多くの地域事例研究に取り組み、以下の通りの結果となった。(2)の全国調査は実施に至らず次年度に繰り越した。 (1)先進的な地域事例として、「徳島県」「高知県」「香川県」「愛媛県」等を含む四国広域及び「大阪府」「奈良県」を含む関西地域の訪日教育旅行の誘致体制の現状と課題を考察した。四国の事例では、一自治体だけでなく広域の観光組織である日本観光振興協会四国支部が受入れ窓口となり、多様なニーズに柔軟に対応していることが判明した。また関西地域では、複数自治体が受入れ対応を担う「訪日教育旅行コーディネーター」等を配置し、専門人材として活躍していた。これらの先駆的な取り組みから、受入れに必要な組織体制とその要件が明確となった。 (2)今後、本研究で実施する全国の実態調査の準備として、JNTO等の観光組織や日本修学旅行協会等の教育旅行推進組織、さらに各地域の受入れデータを収集・整理し、訪日教育旅行データの枠組みを明らかにした。データの多くは「受入れ国、人数、時期」等の基礎データに過ぎなかったが、先進地域は、「交流プログラム内容、学校体制、受入れ状況の詳細」等をデータとして記録しており、参考となった。これらの成果を生かし、全国の実態調査に着手できると考える。 (3)2年目に着手した北海道の地域調査データ入手や各地域事例研究で入手出来た各種データ等をまとめ、2つの論文執筆と3回の学会発表を行い、研究関係者及び訪日教育旅行関係者と議論を深めることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究3年目(最終年度)は、①各地域の訪日教育旅行の事例調査を成果としてまとめ、②「訪日教育旅行に関する取り組みの調査票調査(実態調査)」を実施、分析、考察し、③3年間の研究成果として、持続可能な訪日教育旅行のプラットフォームを提示し、社会へ発信する予定であった。 結果はすでに1で述べたように、北海道はじめ各地域事例の研究で得られた具体的なデータを活用し、訪日教育旅行の重要な枠組みを把握し、多くの地域事例の研究報告が出来た。 一方で、事例研究に注力したことから、最終的に実施予定であった「訪日教育旅行に関する取り組みの調査票調査(実態調査)」については、企画と素案作成は行ったものの、調査実施と結果の回収、考察・研究のまとめには至らなかった。年明けから社会に影響を及ぼした新型ウイルスへの対応も危惧され、国内の観光及び教育等の関係者の調査対応が困難となることも想定されたため、研究期間を延長し、次年度実施することとした。 延長した次年度に行うべき調査はすでに明確であり、継続調査してきた地域や関係者との協同をさらに深めながら、本研究のまとめを行う。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を1年延長し、4年目に変わった最終年度は、以下の通り研究を進める。 第1に3年間の訪日教育旅行の基礎研究及び各地域事例から把握出来た「訪日教育旅行の受入れに必要なプラットフォームを構築する項目」を含む内容として、「訪日教育旅行に関する取り組みの調査票調査(実態調査)」を全国の各地域を対象に実施し、全国の訪日教育旅行の実態及び課題と今後の可能性を明らかにする。第2に延期により得られた時間を活用して、若干の地域事例調査を追加する。第3に4年間の研究成果をまとめ、持続可能な訪日教育旅行のプラットフォーム研究の成果を社会へ発信する。プラットフォームを構成する要素は概ね以下の4点を想定している。 ①国および地域における訪日教育旅行の先進事例を中心に、訪日教育旅行の受入実態から、訪日教育旅行を構成する要素を明らかにする。 ②訪日教育旅行の持続に必要な受入基盤を検討し、効果的な訪日教育旅行誘致の地域対応モデルを構築する。 ③構築された訪日教育旅行誘致の地域対応モデルについて、その有効性と課題を検討する。課題は、関係者間で意見交換し、今後の訪日教育旅行を推進出来る受入モデルとする。 ④研究論文や各種研究会において、教育現場や関係機関へのフィードバックを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が現所属大学に移籍するにあたり、1年目に消化すべきであった消耗品等の購入を2年目に行い、引き続き3年目も行った。また、研究当初は海外の先進事例を対象とする考えもあったが、研究が進むにつれ、海外の諸事例については、北海道訪日教育旅行促進協議会の調査に協力することで、十分なデータが得られたため、実施しなかった。その一方で、より多くの地域事例の把握として、国内旅費に使用した。延長できたことで、さらに地域事例の研究を継続する。また延長した1年で、未実施の全国調査調査実施と研究に関連する国内旅費、成果発表のための経費として、予定した経費の残額を執行したいと考える。
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