研究課題/領域番号 |
17K02144
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研究機関 | 千葉商科大学 |
研究代表者 |
榎戸 敬介 千葉商科大学, 政策情報学部, 教授 (60433091)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | エンクレイブ / 都市観光 / 都市デザイン / 公共空間 / 文化的消費 / 中心業務地区 / グローバル都市 / Temporary Urbanism |
研究実績の概要 |
昨年度と同様に今年度においても新型コロナウイルスのため本研究の主要な調査活動である海外都市フィールドワークを実施することができなかった。そのため昨年度と同様に新たな文献資料および関連情報の収集を継続して行った。今年度は本研究が焦点をあてるエンターテインメント・文化「エンクレイブ」に関し、昨年度実施したTemporary Urbanism関連調査を敷衍するかたちで都市公共空間に焦点をあて、関連の英語文献および最新情報の収集を進めた。その結果、公共空間は都市計画、都市デザイン、都市論等における伝統的な研究対象ではあるが、新自由主義あるいはグローバル経済との関連で改めて注目される研究対象であることを確認した。特に、近年の公共空間の機能や役割の変容が都市分野の研究者の注目を集めているが、都市観光研究においてもその重要性についての認識が高まりつつあることを確認し、現代の都市公共空間が「エンクレイブ」の形成に重要な関わりをもつとの理解にいたった。さらに、公共空間は、都市計画・デザインという主に都市空間の形成・供給についての研究分野に対し、都市観光という都市空間の消費についての研究分野を学際的に融合させるために有効な概念であり実体的な存在であるとの認識を深めた。この「新しい」公共空間のあり方は、主に欧米の研究者により、都市間競争の発想に影響を受ける都市ガバナンスと民間投資の関与により引き起こされる社会的問題とも定義されており、都市空間の変容の理解にあたり改めて探求されるべき事象であることを確認した。以上のとおり、「エンクレイブ」研究において「新しい公共空間」の探求が今後の研究に有効であることを確認できたことが今年度の研究の重要な成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの継続的な発生のため主要な調査対象を海外都市の現場から文献およびウエブサイトに切り替えることで関連の情報収集を有効に進めることができた。昨年度より、都市観光分野および都市文化、文化消費関連分野に加え、都市計画、都市デザイン、都市論等の分野における情報収集を強化してきたが、今年度はさらにそれを進めることで新たな知見を得ることができた。当初の研究計画で予定していた海外都市フィールドワークは新型コロナのため実施できなかったが、このような文献調査により今後のフィールドワークをより有効に進めるための情報が蓄積しつつある。今後は、これまでにまだ確認できていない文献についてさらに調査を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究を特徴づける海外都市でのフィールドワークに替えて国内でのフィールドワークを実施する。また、都市デザインおよび公共空間デザイン分野の海外学会あるいはジャーナルをより広く探り、関連の文献収集、情報収集を推進していく。同時に、都市分野と観光分野を学際的に融合するための理論構築を進める
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた海外都市フィールドワークを実施できなかったため。
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