研究課題/領域番号 |
17K02148
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
室岡 祐司 九州産業大学, 地域共創学部, 准教授 (50615359)
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研究分担者 |
牧野 博明 公益財団法人日本交通公社(観光政策研究部、観光地域研究部、観光文化情報センター), 観光地域研究部, 主任研究員 (20796388)
横山 秀司 九州産業大学, 経済・ビジネス研究科, フェロー教授 (60240222)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 観光復興 / 東日本大震災 / 熊本地震 / スマトラ沖地震 / 九州ふっこう割 / 西日本ふっこう周遊割 |
研究実績の概要 |
3名の研究者にて国内外の被災地調査を行った。国内は、東日本大震災からの復興についてのヒアリング調査であり、主な成果として、宿泊業の震災特需が発生する等熊本地震との類似点や震災遺構を活用した教育旅行や台湾との交流促進が明らかとなった。また、震災前から地域内外とネットワークを築いてきた地域程、観光復興が進む傾向があることを認識し、災害を見据えた普段の地域連携の重要性について示唆を得た。国外は、スマトラ沖地震からのタイ・プーケットの復興とその後の観光動向についてのヒアリング調査である。主な成果として、価格訴求型旅行による復興策という熊本地震との類似点はあったが、あくまでもタイ国内向け、移動の航空運賃を下げるものであり、国外に向けた旅行の安売りは地域のブランド力を低下させるもの、ホテル価格の低下は地元経済・雇用に大きく影響するものとして、否定的であった。また、観光マーケティング・プロモーションにおけるリスクマネジメントを強調する点、復興支援における基金や低金利融資等、今後の政策提言に関する示唆を得た。個別研究として、室岡は、昨年度の九州ふっこう割に関する調査を基に、西日本ふっこう周遊割等、一連の価格訴求型旅行による観光復興政策の比較研究を行い、改良が加えられている点を明らかにすると共に、タイ調査の結果を基に価格訴求に頼らない復興政策の必要性を指摘した。牧野は、熊本地震の被災地である熊本県・大分県の主要温泉地でのヒアリング調査を実施し、家屋・道路・鉄道等の復旧状況や観光客の動向等について把握を行った。また、国によって自然及び人的災害に対する不安の感じ方に差異があるのか、それが熊本地震発生後の九州旅行の計画・実施にどのような影響を与えたのか等について、韓国人、台湾人及び日本人を対象とするwebアンケート調査を実施し比較分析を行った。この結果は2019年度に論文にとりまとめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画にある熊本・大分県の主要温泉観光地のヒアリング調査の継続と、海外の被災地の観光復興に関する現地調査と災害に対する国内外の消費者意識のアンケート調査が予定通りできており、その一部を日本観光研究学会全国大会で報告が出来ているため。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画書に基づき、2年間蓄積した観光地の復興過程や淘汰の要因、国の支援策の評価、国内外の先進事例から、日本の観光地に適応可能な災害復興における観光地マネジメントシステム理論を構築し、政策提言を行うべく、有識者を交えた検討員会を2回開催する。初回を9月に東京、2回目を2月に福岡で実施し、観光庁、JTB総合研究所、日本旅行業協会、東北観光推進機構、九州観光推進機構、阿蘇市から委員として参加を打診する方向で調整を行っている。委員会での検討を踏まえ、研究成果を政策提言としてまとめ、関係者へフィードバックすると共に、途中日本観光研究学会全国大会での発表や年度内に査読論文として発表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費・ヒアリング調査に関する経費を僅かであるが削減できた。削減分は来年度の旅費に充当する。
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