研究課題
基盤研究(C)
本研究「東アジア哲学の共通基盤としての数理と論理」は、京都学派および現代新儒家の哲学において数理と論理をめぐる思索が果たしてきた役割の解明に取り組み、いくつかの成果を得た。西田幾多郎および牟宗三によって代表される両学派の哲学は、たとえ宗教的直観に言及していたとしても、あくまで論理に依拠する性格をもつ点に共通性をもつこと、および、東アジア哲学が全般として、大乗仏教を援用しつつも近代哲学の枠組みを拡張する意図をもって、論理および論理の考察に取り組む性格をもつことが、本研究によって明確化された。
哲学・倫理学
本研究は、第一に、数理・論理的な観点からの東アジア哲学の意義を明らかにした点に、第二に、大陸哲学と分析哲学との分断のもとでの従来の東アジア哲学研究に再考を促す点に、学術的意義のみならず社会的意義をももつ。東アジア哲学は従来、宗教的直観との関係で理解されることが多く、この点に疑問をもつものは東アジア哲学を疎遠に感じる傾向があったが、これは数理的・論理的な普遍性に定位するという東アジア哲学の性格を見誤ったものであり、本研究はこの点で従来の理解を修正することに貢献した。