• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

画像の意味論に関する哲学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K02159
研究機関山形大学

研究代表者

清塚 邦彦  山形大学, 人文社会科学部, 教授 (40292396)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード画像 / 美学 / 表象 / 記号論 / 分析哲学 / 美学
研究実績の概要

本研究は画像表象の描写機能に関する理論的究明を目指すものであり、そのための有力な手掛かりとして、20世紀半ば以後の英語圏における分析美学の伝統に属する一連の先行研究に関する批判的検討を試みるものでもある。令和元年度はこの課題に向けての3か年の研究の最終年度に当たり、研究の総括が課題となっていた。
本研究の見通しでは、描写概念についての適切な全体像を描くためには、描写機能の基盤を「二面的な知覚」に求めるウォルハイム流の枠組みを尊重しつつ、その補完としてウォルトン流のごっこ遊び的想像に関する考察を参照し、さらにごっこ遊び的な想像のための認知的な基盤として、認知説の論者(シアー、ロペスら)が想定したような独自の認知モジュールの存在を視野に入れる必要がある。また、伝統的な類似説の意味を奏した認知的基盤についての考察の中で捉えなおすとともに、それらをさらに別の側面から補完するものとして、グッドマン流の記号論的な考察が描写概念の理解にどのように貢献するかを見極める作業も欠かせない。
令和元年度の研究では、このように従来の描写論をいたずらに対立的にとらえるのではなく、むしろ全体として宥和的な枠組みの中で共存させる形で総括すべきであるとの見通しが明確となってきた。その際、類似の方向性を持った先行研究として、ニューアルの論考についても検討を行った。ただし、それらの作業の成果を総括的な著書に整理し発表する仕事は今後の課題として残されることとなった。それについては、本研究の後継にあたる科研費研究において引き続き取り組んでゆく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今回の研究では、画像の意味という概念の解明に向けての上記の研究成果について、最終的な総括の見通しは得られたものの、著書ならびに論文という形での成果報告には至らなかった。

今後の研究の推進方策

今回の研究では、分析美学の伝統に属する一連の有力な分析案について、その相互関係についての全体的な見通しを確認することができた。その結果として、画像表象という概念の分析をめぐる諸説についてより包括的な視点から展望・総括するための準備が整ったと考える。しかし、そうした展望・総括の作業についてさらに細部を補いつつ著書の形で総括的な成果発表へと進める仕事は今後の課題として残された。
当面の見通しでは、従来の一連の理論は、絵とは事物の似姿であるという素朴な通念を出発点としつつ、そこに含まれる一連の要素、またそこで見落とされている一連の問題点をそれぞれ代弁していると見るのが穏当である。今後は、そうした見通しに沿って一連の諸理論の総括を目指すこととなる。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染の進展に伴い年度末の出張予定が取り消しとなった。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 美学の事典(9月刊行予定、「フィクション」の項目担当)2020

    • 著者名/発表者名
      吉岡洋編(清塚邦彦 項目執筆)
    • 総ページ数
      2
    • 出版者
      丸善出版

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi