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2018 年度 実施状況報告書

西洋十三世紀の哲学的徳論

研究課題

研究課題/領域番号 17K02165
研究機関京都大学

研究代表者

周藤 多紀  京都大学, 文学研究科, 准教授 (50571733)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード徳 / 倫理学註解 / 写本 / 校訂版 / オックスフォード大学 / 十三世紀
研究実績の概要

ディンスデールのヨハネスの『倫理学問題集』の、現存する二つの写本を所蔵する、ケンブリッジ大学(ゴンビル・アンド・キーズカレッジ)とオックスフォード大学の図書館を訪問し、該当する写本を閲覧して、写本現物の状態を確認した。さらに、事前に入手した写本の画像では判別できない箇所を現物によって確認し、同書の写本の書写を完成させた。
そして、同書の二巻について、現存する三つの写本の読みを比較検討した上で、校訂版テキスト(本文)の作成をひととおり終えた。オックスフォード大学が所蔵する写本にしか残っていない同書の十巻については、校訂版テキスト(本文)及び校訂註と引用註を作成し、確認作業も済ませて、全体を完成させた。あわせて関連研究をすすめて解説を英文で執筆した。校訂版及び英文解説を海外の研究者に送り、コメントを得た。コメントを反映した修正・加筆を行ったうえで、完成させた原稿を欧文雑誌に投稿した。
同書と想定著作年代が近い、未公刊資料(『倫理学問題集』)二つ(ms. Erlangen UB213 及び ms. Paris, BnF lat.16110)の画像を入手ないしはウェブ上(Gallica)で閲覧し、同書と同種の問題が論じられているかを確認した。
平行して、ディンスデールのヨハネス、及びヨハネスが主要な源泉としているトマス・アクィナスが、徳をどのように定義し、諸徳をどのように区別・分類しているかについて研究を進めた。研究成果について研究会及び招待講演において発表し、講演原稿を修正、加筆したうえで雑誌に投稿した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画どおり、ケンブリッジ大学とオックスフォード大学図書館が所蔵している、ディンスデールのヨハネスの『倫理学註解』の写本を閲覧し、写本の状態を確認するとともに、写本の書写を完成させた。また、写本の書写に基づき、校訂版の本文テキストを一通り完成させた。さらに、写本によって異なる読みを記載した校訂註(apparatus criticus)を完成させた。

今後の研究の推進方策

主に健康上の理由で、計画申請時に本年度実施予定であった国際ワークショップを中止した。代替企画として、2022年に開催される国際中世哲学会(SIPEM)の大会において、同種の(『ニコマコス倫理学』註解をテーマにした)セッションを提案・開催することを計画し、引き続き内外の研究者と連絡をとっている。
今後は、関連研究をさらにすすめて、ディンスデールのヨハネスの『倫理学注解』の第二巻の校訂版の引用注(locus fontium)を作成する。また、関連研究を踏まえて、校訂版の本文の読みを修正・確定する。そして写本等の情報が正しく記載されているか確認する作業を行って校訂版を完成させる。そして、完成させた校訂版に関連研究をまとめた解説を付し、研究成果の報告書として公表する。

次年度使用額が生じた理由

主に健康上の理由で、予定していた国際ワークショップ開催を中止した。ワークショップ開催のために残しておいた資金は、主に中世哲学研究資料の整備(購入)に使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] トマス・アクィナスによる徳の分類ー枢要徳を軸にしてー2018

    • 著者名/発表者名
      周藤 多紀
    • 学会等名
      京都哲学会
    • 招待講演
  • [学会発表] ディンスデールのヨハネスによる徳の区分論2018

    • 著者名/発表者名
      周藤 多紀
    • 学会等名
      第三回正義論研究会

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公開日: 2019-12-27  

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