本研究では、ヘーゲル哲学の生成史における承認と自由との発展のプロセスを追いつつ、同時に承認と対極をなす和解概念の展開も視野に入れてヘーゲルの社会哲学の全体像を明らかにすることを試み、そこから現代における新たな社会哲学の可能性を展望した。 具体的には、第一にヘーゲル固有の自由概念(共同的自由)の発展史、承認概念の発展史、和解概念の発展史を三つ組みの歴史として再解釈して考察した。さらにこのようなヘーゲル社会哲学の再解釈により、現代の社会哲学、とりわけ現代分析哲学における行為論の成果をも視野に入れた新しい社会存在論の構築へと踏み出した。
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