研究課題
本年度は、論文を3本と書籍1冊を発表することができた。そのうち、論文の「生き方としての現象学 ――私の経験にとどまる哲学と自然主義との別れ道――」(『フッサール研究』16号)では、自然主義の哲学との対比のなかで、現代哲学としての現象学の可能性を明らかにした。「行為者と規範 ――現象学は現代倫理学のなかでいかなる独自性をもちうるのか?――」(『フッサール研究』16号)では、フッサールの倫理学関連のテキストの解釈をめぐる議論を展開しながら、現象学的倫理学の現代的意義を明らかにした。また、「ブルーフィルム鑑賞者であるとはどのようなことか? 土佐のクロサワのために」(『フィルカル』 3(2) )では、1050年代から70年代に高知で制作された違法のわいせつな映画(土佐のクロサワの作品)の鑑賞経験を手掛かりにして、倫理学の問題を考察することができた。ポルノ映画と表現の自由をめぐる応用倫理学の問題に対して、現象学のアプローチを展開することができた。また、編著者として、書籍(共著)『映画で考える生命環境倫理学』(勁草書房)を出版することができた。とりわけ、序章「映画とともに思考するとき」においては、映画と結びつく倫理学的思考の可能性を明らかににすることができた。この書籍は、直接的には、現象学に関連するものではないが、ドキュメンタリー映画と現象学的倫理学の親近性を考察する手掛かりになった。現象学的倫理学の現代的意義を確認しながら、応用倫理学の問題に関する論考においても成果をあげることができた。
1: 当初の計画以上に進展している
共著の書籍1冊と論文3本を成果として発表することができた。
翌年度は研究の最終年度になるので、これまでの研究を取りまとめる成果を発表する予定である。
次年度に発表予定の論文の資料購入にあてるため。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 図書 (2件)
フッサール研究
巻: 16 ページ: 173-187
巻: 16 ページ: 293-307
フィルカル
巻: 3(2) ページ: 86-139