研究課題/領域番号 |
17K02179
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
越門 勝彦 明治大学, 法学部, 専任准教授 (80565391)
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研究分担者 |
竹内 聖一 立正大学, 文学部, 准教授 (00503864)
朝倉 友海 東京大学, 教養学部, 准教授 (30572226)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 欲望 / 証し / 根源的肯定 / ナベール / リクール |
研究実績の概要 |
越門はLa Dialectique entre l'Affirmation Originaire et la Reflexion chez Jean Nabert Une Source de l’Interpretation Ricoeurienne de l'Attestation を公刊した。本論は、ナベールの倫理思想がリクールの「証し」概念の形成において果たした役割を明らかにしたものである。ナベールは、個人の意識が徹底した吟味を経たのちに自らのありようを肯定する作用を「根源的肯定」と定式化した。リクールは、この肯定が真に決定的なものであるか否かは、肯定する意識に内在する要素によっては確定されないことを指摘し、その真正性は、ただ爾後の行動によってのみ証明されると論じた。こうして「根源的肯定」の解釈を起源にもつ証し概念は、証言に関するリクールの諸論考において、何かを信頼するときのその信念に固有の確実性を規定する役割を担うに至る。 当論文は、研究目的として示した三つの課題のうち、第二の課題「実践的諸領域(倫理、宗教、精神分析)を根拠づける〈欲望〉の諸性質を規定する」に取り組んだ成果として位置づけられる。とりわけ、欲望の「記号的性格」、すなわち、それ自身とは別の何かによって表されるがゆえに解釈を要求するという性格、についての一つの解明となっている。 22年1月には、リクールのイデオロギー論研究に着手し、同年4月に論文を書き上げた(22年8月に法政大学出版局より刊行予定。)これは、『イデオロギーとユートピア』での考察がミシェル・アンリの『マルクス』を論評する際にどのように応用されているかを明らかにする、という内容である。この論考は、第三の研究課題「〈欲望〉と権力との複雑な関係性を明確にする」に取り組んだ成果として位置づけられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」で述べたように、交付申請書の「研究目的」ならびに「研究実施計画」で掲げた三つの課題のうち第二課題と第三課題については進展があった。しかし、第一課題「欲望を「欲求need,besoin」、「意志will,volonte」、「感情emotion」と区別する」については、論文の形で成果を出すことができなかった。 前年度の「今後の研究の推進方策」で述べたとおり、メーヌ・ド・ビランにおける欲望と意志の区別と、そこから導かれる「統覚」ないし「反省」の再規定は、行為者の自己知という問題への一つの有効なアプローチでありうる。そこで21年度はビランのテクストの精読、それにもとづく草稿の作成を継続したが、それらの成果を論文として公刊するに至らなかった。 以上の理由により、進捗状況を「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
22年度は本研究課題の最終年度に当たるので、これまでの研究成果をまとまった形で公開する予定である。 研究代表者の越門は、この2年にわたって継続していた、ビランを中心とするフランス哲学の身体運動理論の再解釈を、論文としてまとめあげる。その議論の一部は、ビランによる「欲望と意志の区別」を支える論理を明らかにし、その差異化の議論が、統覚ないし反省の再規定を介して、身体運動の自己知という現代的問題への一つのアプローチとなりうることを、示すものとなる。また、この論文は、21年度に取り組むことのできなかった第一課題への回答として位置づけられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染拡大予防の観点から、メンバーの全員が各種学会や研究会への参加を自粛した。その結果、旅費としての使用額がゼロとなったため。 22年度は471,756円を請求する。旅費、物品費を中心として使用する。
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