研究課題/領域番号 |
17K02179
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
越門 勝彦 明治大学, 法学部, 専任准教授 (80565391)
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研究分担者 |
竹内 聖一 立正大学, 文学部, 准教授 (00503864)
朝倉 友海 東京大学, 教養学部, 准教授 (30572226)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 欲望 / ミシェル・アンリ / 行為者の自己知 / メーヌ・ド・ビラン / 統覚 |
研究実績の概要 |
最終年度の研究成果は、大きく二つに分けられる。 一つは、マルクス解釈をめぐるミシェル・アンリとポール・リクールの対立をテーマとするものである。『マルクス』で展開されたアンリの解釈は、欲求や苦しみなど「生ける個人」の「自己感受」の現実的経験を起源として、階級や分業といったマルクス思想の中心概念を生成論的に解明しようとする点に特徴がある。これに対し、リクールは、1970年代に取り組んでいた分析的行為論から得た知見と独自のイデオロギー研究を踏まえ、アンリによる「活動」と「イデオロギー」概念の解釈の不十分さを指摘した。本研究は、マルクス解釈を媒介として、20世紀フランスを代表する二人の哲学者の根本的な対立を明らかにした点に独自性がある。 もう一つの研究成果は、行為者の自己知をテーマとするものである。行為における身体運動の役割に注目し、運動の遂行が「(行為者にとっての)自分がなしていることについての知」の成立をどのように条件づけているかを考察した。まず、20世紀英語圏の行為と行為者の哲学に加え、自己意識self-awareness、自己知、身体所有bodily ownershipをめぐる最新の研究を幅広く調査し、身体運動を通じた自己知の成立という問題へのアプローチを三つに種別化した。次いで、一人称的視点を重視するアプローチとメーヌ・ド・ビランの認識論との親和性を指摘し、ビランが展開した統覚理論の適用によりこのアプローチを拡充しうることを示した。成果は論文にまとめ(「行為の中の身体運動 行為者の自己知をめぐる問題とメーヌ・ド・ビラン」)、『哲学雑誌』の公募論文に応募した。
期間全体を通じた研究成果のうち特筆すべきは、ブロンデルとナベールの哲学に注目することで、20世紀の欲望概念が倫理の領域へも拡張している事実を明らかにしたことである。
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