研究課題/領域番号 |
17K02192
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
神島 裕子 立命館大学, 総合心理学部, 教授 (60449329)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 責任 / 民主的正義 / ケイパビリティ |
研究実績の概要 |
本研究は二年次において、グローバルな正義の実現へ向けて、人々にどのような道徳発達が必要であるのかを明らかにすることを目標とするものであった。具体的には、日本国内の「他者」の受け入れを民主的正義の問題として捉え、彼らを「われわれ」と対等な間柄にある存在者として包摂する際の「われわれ」行為者の「責任」について考察した。その成果を二つに区切り、まず2018年8月に中国の北京で開催された第24回世界哲学大会にて、"Capability to Responsibility for Democratic Justice"として口頭発表した。また、同月から翌月にかけてアルゼンチンのブエノスアイレスで開催されたHuman Development & Capability Associationの年次大会にて、"Political Agency and the Sense of Justice: A detour path to an inclusive society"として口頭発表した。また、2019年2月にHuman Development & Capability Associationのテーマグループが開催したWebiner (Capabilities in a Just Society: A Theory of Navigational Agency)にレスポンデントとして参加し、ケア従事者のケイパビリティについて問題提起をした。また、ドイツのケアワーカーの受け入れについて調査するため、2019年3月にドイツのミュンヘンを訪問し、ミュンヘン哲学大学(IHS)の研究者の協力を得て、ドイツにおける外国人ケアワーカーの受け入れについて情報収集をするとともに、4名のオペア(aupair)にインタヴューを行い、またSNSを通じての彼らとの今後の研究協力体制を敷くことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に進展しているが、2018年2月にジャーナルに投稿した論文の刊行が遅れ気味であったため。
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今後の研究の推進方策 |
三年次においては、日本とドイツにおけるケアワーカーの受け入れの調査を踏まえた論考を、2019年9月にイギリスのロンドンで開催されるHuman Development & Capability Associationの年次大会で口頭発表する。また、当初は三年次にニュージーランドのケアワーカーの受け入れを調査する予定であったが、研究遂行者が2020年1月末よりイギリスに滞在することになったため、イギリスのケアワーカーの受け入れの調査に計画を変更する可能性が見込まれる。ケアワーカーの受け入れにおいて日本・ドイツ・ニュージーランド(もしくはイギリス)が抱える倫理的諸問題を分析し、その解決へ向けた方途を指し示す論考を執筆し、ジャーナルに投稿するとともに、一般書としての刊行の準備を進める。また、ケアワーカーの国際的移動に関するさらなる研究として、ミュンヘン大学(IHS)の研究者2名との共同研究体制を整える。
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次年度使用額が生じた理由 |
ドイツへの出張が年度をまたいだため、次年度使用額として計算されることになった。
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