本研究では、初年次にロールズ『正義論』の第三部の精読と関連する道徳心理学の理論研究を行い、二年次にロールズの「対等な市民としての暮らし」というアイデアを膨らませた「対等な間柄にある存在者」というアイデアを用いて外国人ケアワーカーの社会的包摂について考察し、国際学会で研究発表を行った。また、ドイツのミュンヘンでケアワーカーに関するフィールドワークを行った。この過程で、国内外の他者とケアの関係性を結ぶためのケイパビリティの重要性が明らかになった。三年次には、諸個人の道徳的な行為者性が、国境を越えて醸成されるケアを与え与えられる関係性のなかで高められるという正義構想について、国際学会で報告した。
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