研究実績の概要 |
平成29年度においては、研究実施計画にもとづき、ふたつの作業を実施するとともに、平成30年度以降に予定されている本格的研究のための予備的作業として予定されている研究テーマの一部について、具体的な研究を遂行した。具体的な実績の概要は下記の通りである。 ①予備調査(欧米における研究動向の総合的調査と関連資料の収集):本研究課題を推進していくための基礎的な予備調査として、紀元前5世紀における論争の全体像を、ソフィストたちの活動を中心に、これまでの研究動向を総合的に調査した。具体的には、これまでの代表的研究であるUntersteiner, I Sofisti(1967)、Guthrie, The Sophists(1971)、Kerferd, The Sophistic Movement(1988)などにより、研究動向を総合的に調査した。また、これと並行して、関連する資料のリストを作成し、資料の収集を行なった。 ②基礎的研究Ⅰ(紀元前5世紀以前の自然哲学をめぐる研究のまとめ):紀元前5世紀以前における自然哲学の研究状況を調査した。具体的には、ミレトス学派、ピュタゴラス派、ヘラクレイトス、パルメニデスなどの主要な哲学者の研究状況を調査するとともに、本研究と深く関係するエンペドクレス、メリッソス、ゼノン、デモクリトスなどの哲学者について、紀元前5世紀のソフィスト思想との関連に注目して、研究動向を調査した。 ③基礎的研究Ⅱ・Ⅲのための準備的研究の実施:基礎的研究Ⅱ・Ⅲでは、ソフィストにおける多様な思想を総合的に研究する予定であるが、本年度は、その準備的研究として、ソフィスト・プロディコスの思想に関する基礎的研究を実施した。具体的には、プロディコスの宗教思想の特質を、紀元前5世紀の自然や神の理解との関連で考察した。この研究については、成果を論文にまとめ、2017年12月に公表した。
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