研究課題/領域番号 |
17K02198
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研究機関 | 長野県立大学 |
研究代表者 |
馬場 智一 長野県立大学, グローバルマネジメント学部, 准教授 (10713357)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | コーヘン / レヴィナス / シュトラウス / ブランシュヴィク / ローゼンツヴァイク、 / 宗教哲学 / 徳倫理 |
研究実績の概要 |
今年度は、レヴィナス、ローゼンツヴァイク、シュトラウス、ブランシュヴィクといった思想的にコーヘンと近い思想家たち(「コーヘンの子供たち」)との比較研究に充てられた。 レヴィナスについては、テクストレベルではコーヘンに対しては否定的な言及しかないことが知られていたが、ジャン・アルペランの証言(Cohen, Cerf, 2014)からレヴィナスがコーヘンを「巨人」と評していたことが分かった。また世界イスラエル同盟図書館での調査から、フリブール大学での客員教授としてのゼミのタイトルが、「ヘルマン・コーヘンのテクストの解説、ユダヤ教論集:理性の宗教」であったことが判明した。 ブランシュヴィクについては、『数学的哲学の諸段階』での、コーヘンへの直接の言及が知られていたが、内容的にさほど重要ではなく、むしろカッシーラーへの言及がはるかに多いことが分かった。コーヘンとの直接的影響関係ではなく、思想やテーマ、あるいはスピノザ受容の比較などの観点からアプローチすべきであることが改めて明確になった。 シュトラウスについては、1930年代に行った講演「コーヘンとマイモニデス」からその後どのようにシュトラウス独自の思想を歩むようになったのかを理解することに注力した。シュトラウスは、マイモニデスをプラトン主義者として理解したコーヘンを評価しつつも、中世イスラーム・ユダヤ思想の研究から、「哲学の社会学」の必要性を1940年代に主張してゆくようになる。コーヘンの宗教哲学のアクチュアリティを探る、本研究最終年度の課題を見据ると、シュトラウス的な観点からコーヘン哲学の社会学を行うことも興味深い作業となることが見えてきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画ではレヴィナス、ブランシュヴィク、シュトラウスに加えてローゼンツヴァイクについても研究を進め、コーヘンと比較する予定だったが、あまり進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
来年度はローゼンツヴァイクについての研究の遅れを取り戻す。 最終年度であるので、予定通り、コーヘン宗教哲学の現代的な意義についての研究を進める。また、コーヘン宗教哲学そのものの特質について、研究成果を発表していないので、論文ないし学会発表などで公表してゆく。
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備考 |
(1)は個人としてのサイト。(2)は海外研究者と共同で設立した国際研究会議のサイト。オンラインジャーナルを無料閲覧できる。
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