研究課題/領域番号 |
17K02198
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研究機関 | 長野県立大学 |
研究代表者 |
馬場 智一 長野県立大学, グローバルマネジメント学部, 准教授 (10713357)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | コーヘン / シュトラウス / マイモイデス / 無限判断 / マアセメルカバ / 秘教性 |
研究実績の概要 |
研究実施計画では、今年度は、コーヘンとスピノザを主題として、コーヘンのスピノザ読解と、「コーヘンの子供たち」のスピノザ論との比較研究および、現代共同体論や徳倫理学の観点からの『理性の宗教』の検討を行う予定であった。 前年度の作業がやや遅れていたことの影響を受け、今年度も引き続き、前年度の作業「コーヘンの子供たち」との比較作業を継続した。「子供たち」のうちでは、特に、シュトラウス思想における哲学の秘教性について、その背景の一つとなるマイモニデス『迷えるものへの導き』における哲学の秘教性にまで遡って研究した。シュトラウスが論じる秘教性とは異なり、マイモニデスにおいては、哲学の学習は、学習の準備ができていない者に対して閉じられたものであり、その秘教性は、相対的なものに留まる。ここで哲学と呼ばれるものは、狭い意味ではアリストテレス形而上学であり、それはユダヤ思想の歴史におけるマアセメルカバを理解するためのものである。マアセメルカバは、ユダヤ思想における無限概念の重要なトポスである。 マイモニデスを論じるコーヘンがこの点をどのように理解しているのか、さしあたり研究は見当たらないのであるが、無限判断を基盤としたコーヘンの思想を扱う本研究にとって、重要な論点であることを発見した。また、この点は、本来本年度行う予定であった、スピノザ読解においても、哲学の秘教性とともに、考慮に入れるべき論点であると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「コーヘンの子供たち」との比較作業が昨年度遅れた。その余波で今年度の作業がやや遅れている。コーヘンや、「コーヘンの子供たち」のスピノザ読解、さらには現代の徳倫理学、共同体論の観点からの検討には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
コーヘンとその「子供たち」におけるスピノザ読解の比較、および現代の徳倫理学、共同体論の観点からの、コーヘン宗教哲学の検討に早急に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により、海外出張をキャンセルしたため。
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