本研究課題は、平成29年4月の交付申請書に記したように、4年間で次の (1) ~ (4) の4種類のテクストの研究を行うことを目的とする:(1) 『ハリバッタ・ジャータカマーラー』(略号 HJM);(2) クシェーメーンドラの『菩薩アヴァダーナの如意蔓』(略号 BAKL);(3)『如来出生アヴァダーナマーラー』(略号 TJAM); (4) 『善説語・大ラトナ・アヴァダーナマーラー』(略号 SMRAM)。 課題期間の最終年度の4年目となる、2020年度の研究は実施計画どおりに進捗し、以下の成果を得た。― 上記の (1) の研究としては、『哲学年報』第80輯(2021年3月)に、HJM の第22章・24章・26章・32章の、合計4章の和訳を発表した。これで研究期間全体で、HJM の合計17の章の和訳を発表したことになる。 上記の (2) については、2020年度には発表論文は無い。研究期間全体では BAKL 第84章と第93章の二つの章の校定・翻訳・研究が終了した。 上記 (3) の研究としては『南アジア古典学』第15号の第二部に TJAM 第14章の後半部分の梵文と訳を発表した。研究期間全体では、第13章と第14章の校定・翻訳・研究が済んだことになる。 上記 (4) の研究としては『南アジア古典学』第15号の第一部に SMRAM の第20章『園丁アヴァダーナ』の梵文と訳を発表し、その章に借用が見られる ZaGkarasvSAmin作の DevAtizayastotra との文の比較を行った。研究期間全体では SMRAM 第20章と第21章の校定と訳が発表され、そしてそれらの章においてテクスト丸ごとの借用が発見されたインド仏教の古い2テクストである馬鳴の SaDgatikArikA とZaGkarasvSAminの DevAtizayastotra の詳細な研究がなされた。
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