研究課題/領域番号 |
17K02224
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
中国哲学・印度哲学・仏教学
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研究機関 | 大谷大学 (2020-2023) 大谷大学短期大学部 (2017-2019) |
研究代表者 |
上野 牧生 大谷大学, 文学部, 准教授 (70460657)
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研究分担者 |
堀内 俊郎 東洋大学, 文学部, 教授 (60600187)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 阿含経典 / 大乗経典 / 経典解釈 / 大乗仏説論 / サンスクリット写本 |
研究成果の概要 |
本研究は世親(ヴァスバンドゥ)作『釈軌論』を対象とした総合的研究である。『釈軌論』は五世紀・北西インド仏教圏域における経典解釈法と説法例集とを記録した大著であるが、サンスクリット写本は未発見であり、唯一チベット訳の現存が確認されている。本研究は、『三啓集』をはじめとするサンスクリット写本から『釈軌論』の平行文(阿含経典・馬鳴詩・世親の解説)を回収しつつ、『釈軌論』全体にわたるチベット訳テキストと和訳とを整備した。かかる基礎研究を通して、①『釈軌論』の全体像、②瑜伽行派による経典解釈法、③説法者としての世親の側面、④馬鳴(アシュヴァゴーシャ)から世親へと至る学的系譜が明らかとなった。
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自由記述の分野 |
仏教学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
『釈軌論』は五世紀・北西インド仏教圏域における阿含経典/大乗経典の受容史と、当時・当地における説法者による布教の実際とを記録する。そのため、『釈軌論』は従来未解明であった仏教僧侶の諸側面に光をあてる。すなわち①一人の仏教者の内に阿含と大乗とが矛盾なく両立すると示していること、②ひとの多様性を前提とした経典受容のあり方が模索されていること、③仏教の学修の起点として「仏陀のことばを敬聴する」という実践が提示され、次代の育成が強く意識されていること、④大乗仏教が興隆する時代情況のなか阿含経典と馬鳴詩とが再評価されていること、である。
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