研究課題/領域番号 |
17K02226
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
川村 邦光 大阪大学, 文学研究科, 名誉教授 (30214696)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 早世者 / 弔い / 遺影 / 未成霊 / 宗教文化史 |
研究実績の概要 |
・研究会:7月19日、第4回研究会、ガラシーノ・ファクンド「コロニアリズムと先住民の闘争」(大阪大学・日本学研究室);8月24日、第5回研究会、川村邦光「高橋和巳の京大闘争と全共闘運動」(大阪大学・日本学研究室);12月22日、第6回研究会、永岡崇「戦後大本の平和運動」(大阪大学・日本学研究室)。 ・読書会:前年度から継続している、Nayoung Aimee Kwon, Intimate Empire の読書会の開催。5月13日、6月24日、9月16日、10月7日、11月25日、1月20日。 ・調査:8月7日、花巻市、宮沢賢治記念館の見学。8日、花巻市、高村光太郎記念館の見学。同市、宮沢賢治関連の旧跡の調査(母方の実家、墓地、詩碑など)。平泉町、毛越寺・中尊寺の見学、源義経関連の遺跡の調査。9日、一関市博物館の見学。 ・研究発表:6月16日、「大本と天皇制:皇道大本の顕教・密教・秘教をめぐって」第9回大本信徒連合会京都会議(ウイングス京都);12月15日、「高橋和巳と1968年前後:未成へ向かう臨死者の眼」科研「新宗教史像の再構築」(代表:栗田英彦)公開シンポジウム「1968年と宗教―全共闘以後の「革命」のゆくえ」(京都大学人文科学研究所大講堂)。 ・研究業績:「高橋和巳、〝わが解体〟の途上にて」『早生者と弔いの宗教文化学的研究:2018年度科研研究成果報告書』(『文化/批評』夏季臨時増刊号、2018年);「キリシタンの近代」『早世者と弔いの宗教文化学的研究:2018年度科研研究成果報告書』(『文化/批評』春季臨時増刊号、2019年);翻訳:ローリング・M・ダンフォース「死の儀礼:ギリシャ北部地方の村にて」『早世者と弔いの宗教文化学的研究:2018年度科研研究成果報告書』(『文化/批評』春季臨時増刊号、2019年)など。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・本研究の目的は、早世者の死と弔いに関して、宗教文化史的・比較宗教学的な研究を通じて明らかにすることである。第一に、早世者の死や死霊の解釈に関する歴史的な変化を明かにすることである。第二に、早世者の弔いの作法(葬法や墓石・墓地、供養・鎮魂法、遺影、記念物)を調査し、その歴史的変遷を明らかにすることである。第三に、早世者を追悼する記録や作品における言説を比較し、歴史的な変遷を考察することである。そして、早世者の弔いの現状を踏まえて、早世者と関わる遺族など、また社会に向けて提言することを目的としている。 ・今年度は、宮沢賢治記念館を見学するとともに、宮沢賢治関連の旧跡(母方の実家、墓地、詩碑など)を調査した。また、平泉町、毛越寺・中尊寺を見学し、源義経関連の旧跡も調査してきた。これらの調査成果は、来年度に発表予定の論文に反映させることができると考える。先に記したように、中間報告として、2本の論文を発表した。「高橋和巳、〝わが解体〟の途上にて」『早生者と弔いの宗教文化学的研究:2018年度科研研究成果報告書』(『文化/批評』夏季臨時増刊号、2018年);「キリシタンの近代」『早世者と弔いの宗教文化学的研究:2018年度科研研究成果報告書』(『文化/批評』春季臨時増刊号、2019年)。また、以前行なった読書会での成果としては、2冊の書物の抄訳を『早世者と弔いの宗教文化学的研究:2018年度科研研究成果報告書』(『文化/批評』夏季臨時増刊号、2018年;同上、春季臨時増刊号、2019年)に掲載した。 ・以上のように、研究計画を進めることができ、おおむね順調に計画を進展させていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
・新たに開始した、Anne Maxwell, Colonial Photography and Exhibitions の読書会を続行して、これも昨年と同じように、抄訳を最終報告書に掲載したいと考える。故なくして、抑圧・搾取・殺戮された、アイヌをはじめとする、アメリカ先住民やアボリジニなどの歴史の中に、早世者や戦死者の弔いの作法の研究に資するものがあると思われる。 ・今年度も研究会を少なくとも3回は行ない、研究の進展を図りたい。6月、8月、10月を予定している。そして、最終報告書の作成へ向けて、研究代表者・研究協力者とともに、研究者を招いて、2020年12月にシンポジウムを開催する。 ・前年度の宮沢賢治に関する調査を踏まえて、宮沢賢治の晩年の作品および思想に関して考察するとともに、宮沢の死が後世においてどのように受け止められ、言説化されてきたのかに関して、数多くの書物・論文を分析する中から検討し、論文としてまとめたい。それとともに、これまで研究を進めてきた、1960年代後半から70年代前半にかけての早世者に関する研究をまとめて、2月下旬に本研究の最終報告書として刊行することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた、資料収集・整理のアルバイトを依頼することなく、研究を行なうことができたため、人件費を使用しないで節約できた。次年度にそれを主要にはシンポジウム開催のために用いたいと考えている。
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