研究課題/領域番号 |
17K02228
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
加藤 久子 國學院大學, 研究開発推進機構, 研究員 (10646285)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 公共宗教論 / 宗教教育 / 無神論教育 / 民主化運動 / ポピュリズム / 第二バチカン公会議 / 宗教的寛容 / 1968年 |
研究実績の概要 |
本年度は、1.公共宗教論を現在のポーランドの政教関係の分析にどのように適応できるかという視点からの理論的検討、2.一次史料に基づく社会主義期のカトリック教育の変遷に関する実証的研究、3.マイノリティ教育に関する史料を用いた「2」の相対化、の3点を中心に進めた。 1.について、公共宗教論に関する文献研究を進めつつ、近年、政治学分野において注目を集めている「ポピュリズム」という概念枠組みを用いて、ポーランドのカトリック教会の政治参加についてどのように論ずることができるかを検討した。特に南米とポーランドのカトリック教会をめぐる環境の類似点の指摘を中心に、社会主義期のいわゆる「民主化運動」への参加が、現在のポーランド社会に及ぼしている影響について分析する口頭報告を比較政治学会において行った。また、この報告に加筆修正を行った論文を、上智大学ヨーロッパ研究所の研究叢書に寄稿した。 また、ポーランド史の教科書(次年度以降に刊行予定)の1948~1970年に関する部分の執筆を分担する中で、カトリック教会の活動とその政治的影響力について歴史的かつ包括的に検討する機会を得た。 2.については、3月にワルシャワ市の国立公文書館において史料収集を行った。前年に発掘していた宗務省の資料から、引き続き1960年代に地方都市で行われた教会の活動に関する記録を収集し、さらに第二バチカン公会議がポーランドのカトリック教会に与えた影響について、主に教育、出版の分野を中心に史料収集を行った。 3.については、第三次中東戦争を受けて始まった党・政府によるユダヤ人迫害(公職追放、国外追放)と、これに対するカトリック教会の高位聖職者の言動(特に信徒向けのメッセージ)を分析し、シンポジウムにおいて口頭で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.理論面では、公共宗教論や政教関係に関する分析を予定通り進めることができた。さらに予定外の成果として、現在の社会情勢を踏まえ、ポピュリズムという枠組みを用いた分析を行う機会を得、比較政治学や社会哲学など、関連分野の研究者とも意見交換を行うことができた点は有意義であった。 2.9月に予定していた調査について教務等のスケジュールの関係で、予定を大幅に短縮せざるを得ないことが判明したため、3月の調査の期間を予定よりも延長し、集約的に調査を行うこととした。その結果、聞き取り調査に遅れが出ているが、文献調査については、予定していた史料のほか、予定外の史料も発掘することができ、トータルで考えれば一定の成果を出すことができた。 3.昨年進捗が遅れていたマイノリティに関する調査については、本年度の調査において遅れを取り戻すことができた。 以上のことから、予定していた計画の順序の変更はあるものの、調査は概ね順調に進捗していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は最終年度にあたるため、現地調査は1度に留め、研究論文の執筆に多くの時間を割く予定であったが、予定外に発掘した史料の収集が完了していないこと、聞き取り調査に遅れが見られることから、2度の調査を行うことを計画している。 また次年度は、共同研究など他のスキームで、1.さらに長いスパンでのポーランドの政教関係史を扱う研究課題、2.第二バチカン公会議がポーランドに与えた外交面での影響(主にドイツとの和解の進展へのカトリック教会の関与)に関する研究課題に取り組むことになるため、本研究に割けるエフォートは当初の予定よりも下がる可能性があるが、両課題とも本研究課題と密接に関連するテーマであることから、相互に研究成果を参照し、包括的な理解を深めることで、研究の効果的な進展が見込めるものと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
9月に予定していた調査について教務等のスケジュールの関係で、予定を大幅に短縮せざるを得ないことが判明したため、3月の調査の期間を予定よりも延長し、集約的に調査を行った。この結果、往復航空券代と1週間分の宿泊費・日当に相当する程度の金額が未使用となった。
当初の計画では、次年度は最終年度にあたるため、現地調査は1度に留め、研究論文の執筆に多くの時間を割く予定であったが、予定外に発掘した史料の収集が完了していないことから、2度の調査を行うか、あるいは調査期間を予定よりも長めに設定することを計画している。
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