研究課題/領域番号 |
17K02231
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研究機関 | 東洋英和女学院大学 |
研究代表者 |
深井 智朗 東洋英和女学院大学, 人間科学部, 教授 (40306379)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 翻訳の政治性 / 宗教出版社 / ヴィルヘルム期ドイツ / ヴァイマール期ドイツ |
研究実績の概要 |
1.平成29年度はC・H・ベック社を取り上げ、1900年前後の外国思想、文学の翻訳について調査した。同社は狭義の宗教出版社ではないが、宗教関係の刊行物は多く、ミュンヒェン大学と深い関係にある。本年度はC・H・ベック社の翻訳刊行物に関する編集会議の議事録、翻訳者との往復書簡、出納関係の資料を調査し、複製を作成し、分析を開始した。その中で編集者の使用言語、所属した大学、留学経験、親戚の国籍の構成まで視野に入れた分析が必要であることが判明した。資料の種類が多く、分析は次年度も継続して行う予定である。 収集した資料は現在個人として保存しているが、これを他の研究者も利用できるように整理を開始した。PDFファイル化し、HPなどで公にする準備を開始した。 2.拙著『思想としての編集者』の韓国語版が刊行され、さらに『神学の起源』の韓国語訳も刊行されたことから、韓国のキリスト教出版史の研究者と「翻訳の政治性」という主題での研究会、シンポジュウムを行い、意見交換を行う機会を得た。また本研究についての講演も行った。その際、「翻訳の政治学」という用語の「概念史」研究の必然性について指摘され、それについての研究を開始した。 3.本研究の前史をなす問題として、プロテスタンティズムにおける出版、ドイツ語著作とラテン語著作の差異、改革期における翻訳の政治性についての研究、論文の執筆、講演などを宗教改革の5回目の周年記念が行われた年なので行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ドイツでの資料収集に協力者を得ることができたこと、また資料分析の方法や整理について、これまでの研究での手法の蓄積が応用できたことなどがその主たる理由である。
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今後の研究の推進方策 |
今後同じ手法によってオイゲン・ディーデリヒス社の資料も入手し、分析を続けたい。資料の収集にあたって、よい情報提供者を改めて探し、出版資料館など各地に分散、保存されている資料をできるだけ効率的に、多く収集し、事例研究を続けたい。 また昨年からの継続で入手した資料を分析し、さらに平成30年度はそれを論文にまとめ、公にしたい。
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