研究課題/領域番号 |
17K02232
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研究機関 | 帝京科学大学 |
研究代表者 |
一色 哲 帝京科学大学, 医療科学部, 教授 (70299056)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 沖縄キリスト教会の自立 / 沖縄インターボード委員会(OKIB) / 琉球列島奉仕委員会(リバック、RIVAC) / A.R.ストーンの私的報告書 / 信仰告白論争 / 占領体制の固定化 / 米占領軍による宣撫工作 / GHQ民間情報教育局(CIE) |
研究実績の概要 |
2019年度は、下記の9回、沖縄島での調査を行った。2019年5月31日-6月3日、6月14-17日、6月21-24日、8月31-9月5日、10月11-14日、11月15-18日、11月22-25日、2020年1月23-27日、2月27日-3月5日。これらの調査の主たる目的は、本科研に関わるこれまでの研究の中間考察して、「戦後沖縄キリスト教史」についての著作執筆のため、資料の確認を主とするものであった。 それ以外に、沖縄キリスト教平和研究所主催の「沖縄慰霊の日・特別講演会」(2019年6月15日)や、「琉球沖縄歴史学会」の研究会・総会(同年10月12日)に出席して沖縄キリスト教史の研究者だけではなく、琉球・沖縄史の研究者との交流を持った。その結果として、琉球・沖縄史や戦後占領期の歴史の文脈で自らの研究を位置づけていくための多くの知見を得た。 また、2020年2月29日には、沖縄キリスト教平和研究所主催の連続講座(【連続講座Ⅷ】第3回)で講師を担当し、「米軍による占領体制の固定化と1950年代における沖縄キリスト教会自立の試み」と題して、講演を行った。これについても、講演後、実際に1950年代の沖縄を体験された方々から、貴重な助言と研究上の示唆をいただいた。 以上のように、2019年度は、沖縄戦から戦後米軍占領期の沖縄キリスト教史について、これまで収集した史料の確認を行い、著作の公刊に向けての準備を行った。また、他分野の研究者との交流で、研究の視角を広げ、今後に向けての新たな課題を発見することができた。そして、研究の成果を沖縄で公開することで、体験者や関係者から有益な指摘を頂いた。以上のように、本研究の課題を深めることができた。 また、上記の事情により、本年は、論文・著作執筆、学会発表等研究成果の外部発表を行わなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は、前年度の戦前期の南島(沖縄・奄美)のキリスト教史の総括を受けて、戦後沖縄キリスト教史についてのまとめを行った。その過程で、これ以降の研究につながる知見や示唆を得た。また、キリスト教史以外の研究者との交流や情報交換を行い、戦後の沖縄キリスト教史についても、占領期の政治史や東アジアの冷戦進行過程など、沖縄戦後史の文脈でキリスト教史の見直しをする機会を得た。
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今後の研究の推進方策 |
まず、次年度中には、これまでの研究をまとめて、「戦後沖縄キリスト教史」についての著作を公刊したい。そのための最終的な資料確認と聞き取り調査を行う。 また、これまでの課題でもあった南島地域(沖縄・宮古・八重山・奄美の各群島)のキリスト教伝道の現況について悉皆調査を行う。これについては、郵送等の方法でアンケートをまず行い、問題点を分析し、必要であれば、現地調査を行うものとする。 以上のように、本研究について、期間の後半を迎えるにあたり、もう一度、調査の対象と視角を広げ、新たな課題を見つけつつ、研究のまとめに向かいたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、研究の中間のまとめとして、現地での資料確認に時間を費やしたため、予定していた図書などの物品費や資料の複写のための経費が予定よりも少なくなった。 そのため、次年度は、南島地域のキリスト教伝道の実況について、悉皆調査を行うので、物品費やその他(郵送諸費)、資料整理の人件費を多く支出する計画である。
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