研究課題/領域番号 |
17K02242
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研究機関 | 郡山女子大学短期大学部 |
研究代表者 |
何 燕生 郡山女子大学短期大学部, その他部局等, 教授 (00292186)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 鎌倉禅 / 東アジア仏教 |
研究実績の概要 |
研究成果の発表と文献調査の二つに分けられる。 研究成果の発表としては、具体的に以下のものがある。①5月16日~20日武漢大学文明対話高等研究院が主催する「世界歴史と世界哲学ー比較哲学の時代と方向」のシンポジウムに参加し、研究発表を行った。初日は「グローバルヒストリーと世界哲学」と題する座談会にゲストとして参加し、日本の中学校、高校および大学における「世界史」「西洋史」「東洋史」を取り上げて話題にしながら、比較宗教学の観点から地域史をどうとらえるべきかについて、東アジアの仏教交流、特に禅僧たちの交流を事例として研究発表を行った。翌日はシンポジウムであり、「大乗仏教をめぐるヤスパースの理解とその特徴」という内容の研究発表を行った。このシンポジウムに日本から研究代表者のほかに東京大学の石井剛教授も参加し研究発表を行った。また②5月25日~26日東洋大学で開催された「初期禅宗史研究の最前線」国際シンポジウムに参加し、司会などをつとめ、海外の研究者たちと交流を行った。さらに③9月13日~15日、日本宗教学会学術大会に参加し、「近年中国における仏教研究の最新動向」と題する研究発表を行った。 文献調査については、①4月19日~21日に滋賀県の琵琶湖湖畔にある臨済宗関係の寺院にて入宋禅僧に関連する資料を調査した。祥瑞寺に伝えられる「梅」の掛け軸は室町初期のものだが、特徴的なのは「梅」を「讃」えるという形式ではなく、「梅」を「拝む」形となっているという。入宋して「梅」を手に持った「天神さま」に変身した菅原道真の事例と関連させて考えると、興味深い。また②6月21日~23日、8月23日~27日、愛知県豊橋市にある浄円寺にて二度にわたり文献調査を行った。同寺に保存されている民国時代の仏教雑誌および新聞を実際に撮影することができた。その他、京都や札幌の禅寺で文献調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
・前半は研究成果の発表および文献調査の両方をスムーズに実施できた。 ・後半はコロナの影響により、当初予定していたいくつかの出張や企画していたシンポジウムの開催をすべてキャンセルせざるを得ない時代となったため、やや遅れているという状況となっている。 ・そのため、研究費の一部を次年度に繰り越して実施することとなった。 ・最終年度にあたる令和2年度は、遅れている部分を早く取り戻し、確かな成果を出さなければならない。
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今後の研究の推進方策 |
基本的に「研究計画書」に書かれてある通り、これまでと同様な研究の方策で進めていきたい。具体的には国内外における文献調査と国内における研究成果の発表という研究のスタンスをそのまま継続していくということである。今年は最終年度に当たるため、コロナの影響ですでに遅れている研究計画を早く取り戻さなければならないという新たな課題がある。 しかし、この実施状況報告書を書いている時点では、海外への渡航については、まだ不透明であり、その点がすこし気になる。 もちろん途中変更が生じた場合はその都度対策を考えていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた国内出張および東北大学日本思想史研究室、東アジア実学研究会と共催の小規模のワークショップがコロナの影響により中止したことによる。 次年度は年度末にそれらを実施できるよう計画を立てなおしており、ワークショップの方は発表者を増やすことで、共催者側および発表者と協議し、確約を得ている。確かな成果が期待できるものと信じている。
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