研究課題/領域番号 |
17K02243
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研究機関 | 鈴鹿大学 |
研究代表者 |
川又 俊則 鈴鹿大学, こども教育学部, 教授 (40425377)
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研究分担者 |
郭 育仁 鈴鹿大学, 国際人間科学部, 准教授 (10761603)
小林 奈央子 愛知学院大学, 文学部, 准教授 (50597135)
冬月 律 麗澤大学, 外国語学部, 講師 (70726950)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 次世代 / 継承 / 教化 / 伝統 / ネットワーク / 宗教集団 / 宗教指導者 |
研究実績の概要 |
共同調査・研究会を2度行った。5月26-27日は、京都市で嵯峨嵐山おもてなしビジョン推進協議会リーダーの講演「商店と神社仏閣の関係」で、地域社会と宗教文化を学んだ。寺社の年中行事に主体的にかかわっている現況、次世代への継承として小学生からこども神輿、高校生などには大人の神輿に徐々に参加させるような試みから継続の努力を学んだ。野宮神社や天龍寺などで、年中行事の現況や地域社会とのつながりをうかがい、嵯峨祭の実態も見学した。3月8日は静岡県浜松市の臨済宗寺院にて、住職へ聞き取り調査を行った。自坊で永代供養・樹木葬・坐禅会・ペット供養など多様な活動を行う他、他寺院と協力関係のもと、僧侶の婚活にも関わっている住職の発想や活動の背景をうかがった。 両日とも研究会を実施し、各人のこれまでの調査研究の報告、今後の計画などを検討した。 個別調査は進捗に詳しく記載したが、いずれも個別テーマを深化させ、また、対象を拡大させた調査研究を進めることができた。「次世代教化システム」という新しい視角による調査を進めることにより、さまざまな宗教集団で青年宗教者に出会い、全国各地で様々なチャレンジをしている姿を目の当たりにし、また、それを受け入れている地域住民の方々との協働の実態を観察した。これらは、現在、「極点社会」とも言われているなかで、地域社会の活性化につながることを確認した一年間であった。各宗教における取組の共通性や差異、その他、ひろく敷衍できる内容を精査しながら、研究のまとめへ向かっていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4年計画の2年目として共同研究も個別調査もほぼ順調に進められた。2018年度は、4ヵ年の2年目として、基礎的データの収集、現況調査を実施した。先行研究・関連研究等を含めた文献調査、個別情報収集も、昨年度に引き続き実施した。 個別研究を集約すると次の通りである。まず、川又は、宗教関係者の資料を収集し、キリスト教会への礼拝参加、宗教者インタビューを重ね、教化方法や一般社会とのかかわりを考察した。全日本仏教青年会シンポジウムにも参加し、無住職寺院の実態、維持の工夫、世代交代の課題などを考察した。次に、小林は、御嶽講諸例祭(岩崎御嶽山、高針心願講、神宮明心教会)、鷹羽講火防大祭、鷹羽講代参先可睡斎、鷹羽講遷座祭、鳥取・東伯一心会(小豆島巡拝講)の調査、小豆島霊場での奉納石造物および聞き取り調査をおこない、各種講組織の歴史的変遷、現状、課題等を把握した。さらに、冬月は、三重県南伊勢町の神社調査および富山県神道青年会主催イベントの「神社で学ぼう」の調査を実施した。これら調査では地域神社における近代の神社合祀の影響と、氏子・総代を巻き込んだ若手神職らの活動の現状と課題を把握した。また、郭は、京都・嵯峨嵐山地区研究会の実施、日韓次世代フォーラム第15回国際学術大会(静岡県立大学にて)への参加、臨済宗妙心寺派龍雲寺インタビュー調査、金沢・石浦神社のゆるキャラ取り組みに関する取材などを行った。 このように、共同調査も個人調査も順調に推移している。すでに、今年度、代表・分担全員が、それぞれいくつかの学会・研究会などでこれまでの調査にもとづく報告もしている。報告での質疑応答や、共同調査・研究会などで互いに検討した内容を踏まえ、次年度の取り組みを進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度も当初の予定通り進める。共同調査を行うが、対象者候補のいる、富山・石川あるいは静岡で行う予定である(対象交渉中)。さらに2020年度も外部識者を招いた研究会を行うが、「地域社会」もしくは「社会教育」をテーマに行うこととする。研究の折り返しを過ぎた年となるので、個別発表以外でのアウトプット方法なども検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
一昨年度、校務多忙な分担者が一部調査を本年度に実施した。さらに一部を次年度実施することになった。
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