本研究は、キリスト教における性規範を問う「クィア神学」を日本の文脈のなかで読み直すことを目的とする。最終年度となった本年度は、これまでの研究活動と継続して、日本のキリスト教における社会運動の実践や理論を文献研究を通して検討するほか、近畿圏(京都・滋賀)や首都圏での社会運動や地域活動の現場への調査をおこなった。 さらにコロナ禍の合間に受け入れ可能との許可を得た非都市部(山口県岩国市)、離島(鹿児島県徳之島および奄美大島)の諸施設への実地調査をおこなうことができた。とりわけ遠隔地については、オンラインでの聞き取り調査は機材などの環境としては可能であるが、現場の状況を直接に訪問することによって、地域活動の置かれた状況の変化(商店の閉鎖や流通の停滞による物資不足、さらにはそれらに影響を受けた人びとの日常生活や精神的状況)を読み取ることが可能となった。 ほか、研究協力関係にあるプロジェクトや研究者・実践者たちとの連携や情報交換などをおこない、本研究のとりまとめと成果発表につながる講演会や出版物刊行等を2022年度に実施する計画を立てることもできた。計画されている成果還元のおもな連携先はつぎのとおりである。日本基督教団京都教区「教会と社会」特設委員会、京都教区滋賀地区社会委員会、日本基督教団性差別問題連絡会、富坂キリスト教センター「日本におけるキリスト教フェミニズム運動史――70年代から現在まで」研究会、アファーミング・ミニストリー。
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