• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実績報告書

戦後派作家と人文知の関わりに関する思想史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K02246
研究機関北海道大学

研究代表者

水溜 真由美  北海道大学, 文学研究院, 准教授 (00344531)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード戦争体験
研究実績の概要

2017年度、2018年度は、堀田善衞に関する研究を行い、2018度末に単著『堀田善衞 乱世を生きる』(ナカニシヤ出版)を上梓した。第1部では、乱世的出来事を描いた5点の小説を、第2部では、乱世を生きた4人の作家・芸術家についての評伝、エッセイ、第3部では、1950年代後半以降のアジア・アフリカ作家会議へのコミットメントと第三世界を扱った小説、評論を論じた。
2019年度は、戦後派作家の1人であり、堀田善衞と同時期に上海に滞在した武田泰淳の研究に取り組んだ。「武田泰淳の〈上海もの〉における敗戦と立ち退き」(『国語国文研究』154号、2020年3月)では、〈上海もの〉における敗戦の描かれ方を考察し、「極限状況下における倫理―武田泰淳「ひかりごけ」と大岡昇平『野火』、同『俘虜記』 」(『層 映像と表現』12号、2020年3月)では、武田泰淳の「ひかりごけ」を大岡昇平の『野火』、『俘虜記』と比較しつつ、極限状況下の倫理の描かれ方について論じた。
本研究課題は、堀田善衞を中心に、戦後派作家が、十五年戦争下の非日常的な体験を思想化する上で人文知(教養)が果たした役割を明らかにすることを目的とするものであった。『堀田善衞 乱世を生きる』は、戦後の冷戦期を含めて、「乱世」を生きた堀田善衞の活動の軌跡を辿った著作であるが、第1部、第2部を中心として、堀田の作品が豊かな人文知(教養)に依拠したものであることを、思想形成の過程をふまえて明らかにした。2019年度に発表した2点の武田泰淳についての論文も十五年戦争下の非日常的な体験を扱った作品を論じたものである。とりわけ武田の「ひかりごけ」を大岡昇平の『野火』、『俘虜記』と比較した論考は、戦後派作家である両者にとって、キリスト教や仏教のフレームが極限状況下における体験を描く上で重要な役割を果たしたことを明らかにしている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 武田泰淳の〈上海もの〉における敗戦と立ち退き2020

    • 著者名/発表者名
      水溜真由美
    • 雑誌名

      国語国文研究

      巻: 154 ページ: 1-14

  • [雑誌論文] 極限状況下における倫理―武田泰淳「ひかりごけ」と大岡昇平『野火』、同『俘虜記』2020

    • 著者名/発表者名
      水溜真由美
    • 雑誌名

      層 映像と表現

      巻: 12 ページ: 60-73

    • DOI

      http://doi.org/10.14943/92301

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 武田泰淳と上海―住居を追われる人々をめぐって2019

    • 著者名/発表者名
      水溜真由美
    • 学会等名
      2019年度日本近代文学会北海道・東北地区合同研究集会

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi