神道というと、日本固有であることが常に強調されるが、歴史的には神仏習合の時代が長く続いていたのである。しかし、明治維新の神仏分離以後、神仏習合の伝統は失われてしまった。そのため神道灌頂のような神仏習合に関する資料の多くは、未だ十分な調査が行われないまま、全国の寺院や保存機関に眠っている。このような資料調査を通じて、その存在と文化的意義を知らせることは、極めて重要である。なぜなら、このような作業を通じて日本文化は外来の文化と在来の文化が結びつき、融合しながら形成されてきたことが見えてくるからである。現代における異文化理解の問題を考えるときにも、このような過去の営みは大いに参考になると考えられる。
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