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2021 年度 実施状況報告書

降霊術から腹話術へ~西洋近代「魔女」概念の形成に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K02250
研究機関関東学院大学

研究代表者

高井 啓介  関東学院大学, 国際文化学部, 准教授 (00573453)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2023-03-31
キーワードヘブライ語聖書 / 降霊術師 / セプチュアギンタ / 腹話術師 / ダイモニオン / ダイモーン / エンガストリミュートス / ピューティア
研究実績の概要

本研究の目的は、古代イスラエルの降霊術師・降霊術と、古代ギリシア・ローマの腹話術師・腹話術という二つの相異なる人物と術が、旧約聖書の翻訳および釈義の場面で強く結びつき、その両者が結合した術者と術のイメージが、のちに西洋近代の「魔女」および魔女術の概念の形成の一端に寄与したことを資料的に例証しようとするものである。その目的を達成するために、前年度までは、第一に、ヘブライの降霊術師とヘレニズムの腹話術師が同一視されるようになる過程を明らかにした。第二に、この両者が同一視された降霊術師=腹話術師が、西洋近代に至って「魔女」概念の一部を構成するようになった過程を明らかにしようとしてきた。
本年度は、前年度までの研究内容の継続として、残された課題である以下の2点を実施した。(1)「降霊術」と「腹話術」との関係性について、「魔女」が描かれた図像の分析を通して論文化する作業の継続、(2)次年度以降の研究の展開についてこれまでの研究の流れを踏まえて新たな構想を練る作業。
以下が本年度の成果である。(1)については、古代末期以降の聖書写本および近代以降の絵画とに分類しつつ、それらの図像をほぼ網羅的に収集しその分析を行った前年度までの経過を受けて、とくにテキストと図像との関係性の特徴を明らかにすべく分析を進めた結果を論文の形で発表しようとしたが、完成に至らなかった。(2)については、エンドルの「降霊術師」の物語が、近世以降のヨーロッパにおいていかに受容されつつ展開したか、すなわちその受容史・影響史を徹底的に整理し直す作業を続けた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究実績の概要に述べた(1)について論文を投稿すべく準備を続けたが、本年度もオンライン授業の負担が重く、その状況のなかで相対的に研究に従事する時間が減少したために、論文を完成させるに至らなかった。そのため、当初の研究計画よりやや遅れが生じている。

今後の研究の推進方策

本年度は、上記研究実績の概要に記した(1)について、その成果についての論文を投稿するとともに、学会においての報告に向けての準備を行う。(2)についても、整理作業を完成させ、(1)の論文に組み込む形で発表する。

次年度使用額が生じた理由

現在までの進捗状況で述べたように、研究に従事する時間が相対的に減少したために、研究成果に不十分な点が残った。従って、研究計画をさらに一年延長することにし、最終的な研究成果を得る目的のために必要な書籍のいくつかを次年度に購入することとしたため、物品費に使用するための次年度使用額が生じている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 図書 (1件)

  • [図書] イエス・キリスト時代のユダヤ民族史VI(翻訳)2021

    • 著者名/発表者名
      E・シューラ―著、髙井啓介・飯郷友康訳
    • 総ページ数
      471(担当部分:7-219)
    • 出版者
      教文館

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公開日: 2022-12-28  

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