研究実績の概要 |
2020年度は8月11月に科研成果報告書のための検討会を遠隔で実施し、研究成果報告書を作成し関係する研究者に送付した。その内容は、松本三之介、三谷太一郎、飯田泰三、木坂順一郎各氏のインタヴュー記録及び調査者の研究論文・田澤晴子「岐阜の「大正デモクラシー」――板垣退助銅像建設・小川渙三の農民組合運動――」、平野敬和「「大正デモクラシー」期の植民地統治論――原敬と吉野作造を中心に」、藤村一郎「吉野作造の国家論変容の一断面-「クロポトキン・インパクト」を中心に」を掲載した。その意義としては、各氏のインタヴュー記録から所属する大学や研究会などを基礎とする学問的な共同体が存在していることを実感した。個人が発する問題関心や研究視角も,属する研究機関の「伝統」,人間関係のなかで育成されてきた側面があることが明確になった。今後の検討課題として,戦後の歴史・政治・思想史学界における研究共同体の課題継承についての検討,「大正デモクラシー」と戦後民主主義の複雑な関係性を架橋する1930年代研究の再考の必要等の研究の必要性が浮上した。
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