研究成果の概要 |
インタヴュー調査は,6名の研究者に依頼し4名の方から承諾を得た。当初の方針は主に戦後の「大正デモクラシー」研究を牽引され,調査者が研究上の影響を受けて来た研究者の方々を候補とした。書籍や論文の背景となる執筆当時の社会認識,問題関心等を語ってもらうことを目的とした。この方針により1940年代から60年代までの研究者ご本人の幼少期から学生時代の体験,影響を受けた人々に関する貴重な証言を得ることが出来た。また,同志社大学人文科学研究所『社会科学』に3名のインタヴュー記録を掲載することが出来た。さらにインタヴューの全記録をまとめ、「大正デモクラシー」に関する調査者の研究論文を冊子にまとめた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
インタヴュー調査の結果、各人の「大正デモクラシー」「吉野作造」「丸山眞男」「アジア認識」に対する考え方を比較することができ、共通点および相違点を明らかにすることができた。また1930年代に対する歴史認識や戦後民主主義に関する考え方が研究方法および内容に深く関わっていること、所属する大学や研究会などを基礎とする学問的な共同体が存在し、個人が発する問題関心や研究視角も属する研究機関の「伝統」,人間関係,講義やゼミとの関係のなかで育成されてきた側面があることが明確になった。論文の土台となるような政治的・社会的諸体験を拝聴できたのは大きな収穫だった。
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