研究課題/領域番号 |
17K02255
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
茶谷 直人 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (00379330)
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研究分担者 |
久山 雄甫 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (70723378)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | プネウマ / 魂 / ガイスト |
研究実績の概要 |
本研究は、<魂><精神><身体>からなる「人間三元論」の系譜について、「プネウマ」から「ガイスト」にいたる概念の連なりに着目しつつ多角的に考察するものである。 当年度も前年度同様、茶谷と久山のそれぞれが展開させてきた、古代ギリシアにおける魂論研究と、ドイツ文学・思想におけるガイスト・ゼーレ研究を発展的に継続させた。それにより茶谷、久山はそれぞれ以下のような研究を実現させた。 茶谷は、ソクラテスにおける魂の正義の問題を考える一環として、プラトン『国家』において、有名な哲人王国家とは別に議論導入の前段階で提示されるいわゆる「豚の国」について、そこでの人と社会のあり方を検討した。また、古代ギリシア哲学における魂論・幸福論研究の蓄積を活かし、神戸大学におけるELSI研究(現代科学技術の倫理的・法的・社会的問題についての研究)の各種事業(研究集会の開催など)の遂行において、主導的・オーガナイザー的な役割を担うことができた。 久山は本科研のひとつの起点として神戸雰囲気学研究所(KOIAS)を神戸大学大学院人文学研究科内に正式に設立した。本科研の観点からも、2023年6月にスロベニアで行われる「呼吸哲学」シンポジウム共催をはじめ、今後のさらなる展開が見込まれる。また、ゲーテのガイスト概念については引き続きゲーテの文学作品(特に『ファウスト』)と自然科学論文(特に形態学)を中心に検討を行い、ゲーテが、精神や霊という訳語があてられるガイスト概念を、じつは雰囲気的な現象として捉えていたことが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
茶谷、久山のそれぞれが固有研究を発展的に継続させる計画は、研究実績の概要欄でも言及したように、研究成果の公表や研究事業の新構築を含め、おおむね順調に進展したと判断することができる。ただ、今般のパンデミックの影響もあって、研究実施期間の締めくくりとして考えていた研究集会の開催、あるいは学会などでの共同研究発表の実現は、当年度はならなかったため、それを残された延長期間で実現させたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
「進捗状況」欄で示したように、今般のパンデミックの影響もあって、研究実施期間の締めくくりとして考えていた研究集会の開催あるいは学会などでの共同研究発表の実現は前年度は叶わなかった。よって、新年度においてはそれを実現させたいと考えている。また、一連の研究期間において行った各種研究会・ワークショップなどの成果を蓄積し、プネウマとガイストをめぐる系譜研究的な論文集の刊行の準備をさらに進めたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
今般のパンデミックの影響もあって、研究実施期間の締めくくりとして考えていた研究集会の開催あるいは学会などでの共同研究発表の実現が、前年度において叶わなかった。よって、新年度においてはそれを実現させる予定であり、経費も主としてそれに用いるためのものである。
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